The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
その数週間後。

帝国騎士団と『青薔薇連合会』は、本格的に『青薔薇解放戦線』に協力しているという確定情報が得られた。

それだけではない。

『青薔薇解放戦線』のリーダーは、憲兵局の元参謀長官の息子で、行方不明になっていたという大将軍の娘も、革命軍に参加しているそうだ。

この情報を受けて、大会議室は正しく阿鼻叫喚の体を為していた。

局員は皆怒りに燃え、革命軍のリーダーをエーレンフェルトの恥さらし、と呼んで罵った。

しかしそのお陰で、私が憤怒に燃えていたことも疑問に思われずに済んだ。

私は他の局員同様、怒りに燃えていた。

しかし私が怒っていたのは、元参謀長官の息子が革命軍を指揮しているから、ではない。

『青薔薇連合会』だ。

あの忌々しい組織。私を、私達を騙したあの男が所属する組織。

あの組織が、何故今更になって、革命軍の味方をする?

そんなことをする理由が、何処にある?

金で動くような男ではない。奴を動かす何かがあったのだ。

でも、それが何なのかまでは分からない。

いずれにせよ、あの男が絡んでいるのなら…この革命は、危険だ。

エーレンフェルトの息子がどれほどの器量なのかは知らないが、並大抵の人間なら、あっという間にあの男の手のひらで踊らされるだろう。

あの男は、本当に革命を支持しているのか?

それとも、革命軍を利用して…他の何かをしようとしているのか?

私達を陥れたように…今度は革命軍を陥れようとしているのか?

何も信じられなかった。私は断じて、あの男を信用したりはしない。

…絶対に許したりしない。

私は革命軍になんて頼らない。憲兵局と直接武器を構えて争えば、余計な血が流れるだけだ。

でも私の目的は、革命軍のそれと変わらなかった。

私はこの国を変えたい。この憂える祖国を…彼が望んだ国に変える。

それが、唯一生き残った私の、最後の使命だと思うから。

だから私はここにいる。あの人が…最後に残してくれた贈り物のお陰で。

私は私のやり方で、必ずこの国を変えてみせる。

その目的の為に、『青薔薇連合会』が絡む革命軍の存在は、邪魔でしかなかった。

ただの革命軍なら構わない。

でも『連合会』が絡んでいるなら話は別だ。

何を考えているか全く読めない。何をするつもりなのかも。

奴の腹が読めない以上、『青薔薇解放戦線』は危険だった。

…何とかして、革命軍のリーダーに接触したい。

そして、彼がどういうつもりで『青薔薇連合会』と手を組んだのか、あの男が何を考えて『青薔薇解放戦線』の後ろ楯になったのか…それを確かめたかった。

しかし、箱庭帝国本国から動けない私には…とても無理な話だった。









そう、思っていたが。




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