The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「それで?新しい仲間の歓迎会って聞いたけど…。その仲間ってのは、彼?」

「そです。ルリシヤ・クロータスさんですよ」

「どうも。宜しく」

ルリシヤは、ぺこり、と先輩達に頭を下げた。

アイズ達はどんな反応をするだろうか。

「へぇ…。よくアシュトーリアさんが許可したね。私はアイズレンシア・ルーレヴァンツァ。宜しくね。何か分からないことがあれば聞いて」

「ありがとうございます。宜しくお願いします」

アイズは、ルリシヤに手を差し伸べて、握手をしながら挨拶した。

…良くも悪くも、アイズはアシュトーリアさんに似てるからな。

割と寛容だ。

次に挨拶したのは、アリューシャだった。

「よっす!アリューシャはね、アリューシャって名前なんだぜ!アリューシャ・ヘルフェンリッツ。よろ!アリューシャのことは先輩って呼んでくれて良いぜ」

「宜しくお願いします、アリューシャ先輩」

…本当にそう呼ぶのか。

予想していたことではあるが、やはりアリューシャは全く動じていなかった。

これがアリューシャの長所でもあり、短所でもある。

ったく、『青薔薇連合会』には呑気な人間が多過ぎる。

と思っていたら。

「…」

シュノだけは挨拶をせず、険しい顔でじっ…とルリシヤを睨んでいた。

「…宜しくお願いします」

「…ふんっ」

ルリシヤが挨拶をしようと声をかけたものの、シュノは冷たくそっぽを向いた。

…まぁ、シュノはそうなるだろうな。

新人相手に冷たい、と思うかもしれないが…シュノは元々人見知りだし、その上ルレイアを殺そうとした相手ともなれば、こんな反応になるのも無理はない。

俺だってそんな反応になる。シュノが正しいよな。

ルレイアやアイズが無警戒過ぎるんだ。

「ごめんね、悪気はないから許してあげて。…彼女はシュノ。シュノ・ルヴァーシュ。唯一の女性幹部だよ」

不満げに黙ってしまったシュノの代わりに、アイズがシュノのことをそう紹介した。

…そんな奴に謝ることなんてない。謝らなきゃならないのは、ルリシヤの方だろ。

「それよりルル公~。何作ってんの?ホームパーティーだからいつもより豪華な感じ?」

呑気なアリューシャが、キッチンに身を乗り出しながらうきうきと尋ねた。

…本当に、呑気で良いな。お前は。

「…生ピーマンと生ニンジンのサラダと、椎茸の煮込みだよ」

「ひでぇ!全部アリューシャの嫌いなもの!ルル公によるいじめだ!アイ公に言いつけてやるからな!」

言えば良いだろ。ってか今そこにいるじゃん。

…あぁ、ムカムカする。

「…お前らも手伝えよ」

ついついイラついて、口調が荒くなってしまう。

しかし。

手伝えと言っても、アリューシャはアイズに泣きついてるし、アイズはそのアリューシャを宥めてるし。

シュノは俺に負けないくらい不機嫌でそっぽを向いてるし、ルレイアは怪我人アピールして動かないし。

…ったく。こいつらと来たら。

結局一人で料理するしかないか…。と、内心溜め息をついていた、そのとき。

「…俺が手伝おうか」

「…は?」

袖を捲りながらキッチンに入ってきたのは、俺をイラつかせている元凶の…ルリシヤだった。
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