The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
ルルシーにもついてきてもらって、地下拷問室に降りてくると。

俺達の顔を見るなり、拷問官がさっ、と頭を下げた。

「ご苦労様。で…どんな感じです?その使えそうな女ってのは」

「はい。その…少々歳は取っているのですが、顔はそこそこですし、胸もあるので…お店には使えるかと」

超言いにくそうにご報告ありがとう。

もう用済みの女を、殺さずに自分のお店で再利用しようという、地球に優しいエコなリサイクルをしているだけなのに。

ルルシーにしても、この拷問官にしても、何でこんな微妙な顔をするのかなぁ。

リサイクルって大事だと思うんだ、俺は。

それにしても、綺麗なのは良いが、年増か。

「年増はあんまり需要がないんですよねぇ…。俺も年上は好きじゃありませんし…」

「では、殺しますか?」

「いや、とりあえず見てみましょう。年増でも需要が全くない訳じゃありませんから」

少々歳を取ってても、そのぶん安く売ることが出来るからな。

性経験豊かだったらなお良し。

「で?どれですか」

「これです」

拷問官に導かれた先には、両腕を手枷で拘束され、ぶるぶると震えている年増女がいた。

…うん?

「…」

「…」

俺もルルシーも、思わずその女の顔をじっと見つめてしまった。

…気のせい…ってことはないよな?

「如何でしょう?」

拷問官が、俺の顔色を伺いながら尋ねた。

「…この女、何をやったんですか?」

どんな悪事をやって、こんなところに連れてこられた?

この目を見る限り、『青薔薇連合会』に対抗するマフィアの構成員、って訳じゃなさそうだが。

「うちの下部組織から、多額の金を借りて逃亡したそうです」

「あぁ…借金ですか」

風俗に落として、借金ぶん稼がせても良いが…この年じゃ、金を返す前にくたばるだろうな。

俺は年増女に歩み寄り、恐怖に怯える顔をじっと見つめた。

…やっぱり似てるな。

随分と、整形に整形を重ねて顔をいじくり回してるようだけど…。

で、胸。

身体に不釣り合いなほど、胸だけが飛び出しているが。

試しに、女の胸を鷲掴みにしてみる。二、三回揉む。

「おいこら、ルレイア」

「あ、やっぱり養殖だ…。天然モノじゃありませんよ、これ」

俺ほどになると、感触で分かる。

これは豊胸手術で、胸に異物詰め込んでるだけだ。

顔も養殖、胸も養殖、ついでに年増と来た。

…使い道、ないなぁ。

これなら、ぶっ殺して内臓売り飛ばした方が余程金になる。

「…あなた、借金あるんですよね。一応聞いておきますが、返すあては?」

「あ…あります。あります」

女は必死になってそう答えた。

あるの?

「何ですか。あなた、その養殖三昧の身体じゃ風俗に落ちても稼げませんよ」

「娘が…。娘がいるので。その娘を好きにして良いので、命だけは」

「…」

…俺が言えた義理じゃないけどさ。

…クズじゃね?こいつ。

てめぇの借金だろうが。何でそこで娘が出てくる?

「その娘さんってのは何処に?」

「そ、それは…。でも、丁度あなた方と同じくらいの歳で…。充分使えるはずです」

「…ふーん…」

俺はルルシーと顔を見合わせた。

…これ、もしかしたらもしかするのかな?

「…ねぇルルシー。もしかして今、俺と同じこと考えてます?」

「…恐らくな」

やっぱり、ルルシーも気づいてたんだ。

そりゃ気づくよな。何処となく…面影があるもん。

「…どうします?言った方が良いんですかね。黙って殺すべきですかね」

「…一応、殺す前に話してみた方が良いと思う。どうするべきかは…本人が決めることだ」

「ですよねー…」

俺もそう思う。

じゃあ…まぁ、呼んでみるか。

俺は携帯を取り出し、彼女に電話を掛けた。
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