The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「ルレイア、それにルルシーも」
「あ、シュノさん来ましたね。済みません、呼びつけてしまって」
「ううん」
地下拷問室は暗いから、ちょっと見えにくいけど。
相変わらず、ルレイアは格好良い。
私はそのルレイアとお揃いのゴスロリワンピースを着ているのだ。そう思うと、嬉しくもなるというもの。
今度、また服を選んでもらおう。
楽しい想像をして心の中で微笑んだ。
おっと、それは置いておいて…ルレイアは、お仕事の話をしに呼んだのだろうから。
まずは、そっちを先に済ませなくては。
「それで、ルレイア。見てもらいたいものって、何なの?」
「こっちです」
ルレイアに導かれるままについていった先に、一人の女性が両手を拘束されて、天井から吊るされていた。
身体に傷がないから、これから拷問を受ける予定なのだろう。
「この女に、見覚えは?」
「…これ…」
私は思わず、呆然としてその顔を見つめてしまった。
見覚え…。
見覚えなんて…あるに決まってる。
これは。この人は。
「…何で…ここにいるの?」
…お母さん、という言葉を…私は必死に飲み込んだ。
そんな風に呼んでもらう権利が、この女にあるものか。
「…!あんた…」
お母さんの方も、私に気づいたようだった。
娘の顔を、かろうじて覚えていたようだ。
私はお母さんの顔を忘れたことはなかった。私を罵る、あのお母さんの醜悪な顔を。
随分と整形をしたようで、だいぶ印象が変わっているけど。
でも、見間違えようがない。
私は、この顔を覚えている。
「…やっぱり、シュノさんのお知り合いでしたか」
ルレイアは、シュノさんのお母さんでしたか、とは言わなかった。
私に気を遣って、そういう言い方をしてくれたのだ。
「…うん」
「そうですか。ちょっと、顔が似てるので、そうかなって思って…。なら、これの処分については、あなたに任せますよ」
「…良いの?」
この人が何をして、ここにいるのかは知らないけど。
私の独断で、どうにかして良い人間なのか。
「構いませんよ。どうせ処分されるところだったんです。…どうやらうちの下部組織から多額の借金をしたそうなので。いつもなら、そういう人間は腹を割いて売れるものを全部売り飛ばすところですが…」
「…うん」
そうやって少しでも、損失分を回収するんだよね。
「今回は、シュノさんが好きにしてください。損失分は俺が出しましょう」
「俺も負担するよ。だから、シュノが好きにすれば良い」
ルレイアがそう申し出て、間髪入れずにルルシーもそう言った。
…二人共、優しい。
「それとも…顔を見るのも嫌なら、俺がぶっ殺しましょうか?」
「…ありがとう、ルレイア。ルルシー」
二人の気遣いはとても嬉しい。
でも。
「私なら大丈夫。私に任せてくれる?」
「…分かりました。じゃ、俺達は帰りましょうか」
「そうだな」
二人共、深くは聞かなかった。
私に任せてくれるようだ。
更に。
「あぁ、あなたももう良いですよ。この場は彼女に任せましょう」
「?はい」
ルレイアは、傍に控えていた拷問官に声を掛けた。
幹部であるルレイアの命令だ。事情が掴めていないらしい拷問官は首を傾げていたが、ルレイアの命令通り、その場を離れた。
…これで、二人きり。
およそ十五年ぶりの…親子の再会である。
「あ、シュノさん来ましたね。済みません、呼びつけてしまって」
「ううん」
地下拷問室は暗いから、ちょっと見えにくいけど。
相変わらず、ルレイアは格好良い。
私はそのルレイアとお揃いのゴスロリワンピースを着ているのだ。そう思うと、嬉しくもなるというもの。
今度、また服を選んでもらおう。
楽しい想像をして心の中で微笑んだ。
おっと、それは置いておいて…ルレイアは、お仕事の話をしに呼んだのだろうから。
まずは、そっちを先に済ませなくては。
「それで、ルレイア。見てもらいたいものって、何なの?」
「こっちです」
ルレイアに導かれるままについていった先に、一人の女性が両手を拘束されて、天井から吊るされていた。
身体に傷がないから、これから拷問を受ける予定なのだろう。
「この女に、見覚えは?」
「…これ…」
私は思わず、呆然としてその顔を見つめてしまった。
見覚え…。
見覚えなんて…あるに決まってる。
これは。この人は。
「…何で…ここにいるの?」
…お母さん、という言葉を…私は必死に飲み込んだ。
そんな風に呼んでもらう権利が、この女にあるものか。
「…!あんた…」
お母さんの方も、私に気づいたようだった。
娘の顔を、かろうじて覚えていたようだ。
私はお母さんの顔を忘れたことはなかった。私を罵る、あのお母さんの醜悪な顔を。
随分と整形をしたようで、だいぶ印象が変わっているけど。
でも、見間違えようがない。
私は、この顔を覚えている。
「…やっぱり、シュノさんのお知り合いでしたか」
ルレイアは、シュノさんのお母さんでしたか、とは言わなかった。
私に気を遣って、そういう言い方をしてくれたのだ。
「…うん」
「そうですか。ちょっと、顔が似てるので、そうかなって思って…。なら、これの処分については、あなたに任せますよ」
「…良いの?」
この人が何をして、ここにいるのかは知らないけど。
私の独断で、どうにかして良い人間なのか。
「構いませんよ。どうせ処分されるところだったんです。…どうやらうちの下部組織から多額の借金をしたそうなので。いつもなら、そういう人間は腹を割いて売れるものを全部売り飛ばすところですが…」
「…うん」
そうやって少しでも、損失分を回収するんだよね。
「今回は、シュノさんが好きにしてください。損失分は俺が出しましょう」
「俺も負担するよ。だから、シュノが好きにすれば良い」
ルレイアがそう申し出て、間髪入れずにルルシーもそう言った。
…二人共、優しい。
「それとも…顔を見るのも嫌なら、俺がぶっ殺しましょうか?」
「…ありがとう、ルレイア。ルルシー」
二人の気遣いはとても嬉しい。
でも。
「私なら大丈夫。私に任せてくれる?」
「…分かりました。じゃ、俺達は帰りましょうか」
「そうだな」
二人共、深くは聞かなかった。
私に任せてくれるようだ。
更に。
「あぁ、あなたももう良いですよ。この場は彼女に任せましょう」
「?はい」
ルレイアは、傍に控えていた拷問官に声を掛けた。
幹部であるルレイアの命令だ。事情が掴めていないらしい拷問官は首を傾げていたが、ルレイアの命令通り、その場を離れた。
…これで、二人きり。
およそ十五年ぶりの…親子の再会である。