The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
…十五年前までは、あんなにお母さんのことが怖くて堪らなかったのに。
今となっては、一体この女の何をそんなに恐れていたのか分からない。
「…情けない姿になったものね」
そもそも、生きているとは思っていなかった。
何処ぞで野垂れ死にしているものとばかり。
悪運だけは強い、ということか。
「私のこと、覚えてるの?」
「…」
…その顔を見ると、どうやら思い出したようだな。
自分に娘がいるってことすら、忘れてるんだと思ったが。
都合が良いときだけ思い出すのは、相変わらずらしい。
「覚えてるのね。可愛いお兄ちゃんしか覚えてないんだと思ってたわ」
「…」
そういえば、お母さんはあの兄の死体を見たのだろうか。
今となってはどうでも良いことだけど。
「聞かないの?私が何でここにいるのか。それとも、可愛くない淫乱な娘のことはどうでも良い?」
「…あんたは、マフィアの…『青薔薇連合会』の人間なの?」
震える声で、お母さんはそう聞いた。
「えぇ、そうよ。何か文句がある?」
マフィアに入らなかったら、私は今でも、身を売るような生活を続けていたはずだ。
ルティス帝国最大のマフィアに入った娘のことを、お母さんはどう思っているのだろう。
どうやらお母さんは、私がマフィアに入ったことについて、文句はないようだった。
代わりに、すがるような目付きで私にこう言った。
「…だったら、お願いだよ。私を解放して、借金を肩代わりして欲しいんだ」
「…」
「今のあんたになら出来るんでしょう?お願いだよ。親孝行だと思って」
その言葉に私は、思わずカッとなって叫んだ。
「ふざけたことを言わないで。親孝行なんて、してもらえる立場だと思ってるの!?」
「…!」
よくもまぁ。私を前にして、親孝行だなんて言葉が使えたことだ。
親らしいことなんて、何一つしてこなかった癖に。
「私は一度だって、あなたに可愛がられたことはない。あなたはいつも、お兄ちゃんばかりだった。私なんて邪魔者だとしか思ってなかったんでしょ?それなのに、困ったときだけ私に頼るの?」
「それは…だって…」
「私がお兄ちゃんに酷いことされてるのも、知ってた癖に…何もしなかったじゃない!男と遊び歩いてばかりで…。その借金だって、男と遊んで貢いで出来た借金でしょ?それを何で、私が肩代わりしなきゃならないの?」
あれだけ蔑んで、虐げて、愛情の欠片すら注がなかった娘に助けられる。
嫌じゃないのか?恥ずかしいと思わないのか?プライドの欠片もないのか?この人は。
今となっては、一体この女の何をそんなに恐れていたのか分からない。
「…情けない姿になったものね」
そもそも、生きているとは思っていなかった。
何処ぞで野垂れ死にしているものとばかり。
悪運だけは強い、ということか。
「私のこと、覚えてるの?」
「…」
…その顔を見ると、どうやら思い出したようだな。
自分に娘がいるってことすら、忘れてるんだと思ったが。
都合が良いときだけ思い出すのは、相変わらずらしい。
「覚えてるのね。可愛いお兄ちゃんしか覚えてないんだと思ってたわ」
「…」
そういえば、お母さんはあの兄の死体を見たのだろうか。
今となってはどうでも良いことだけど。
「聞かないの?私が何でここにいるのか。それとも、可愛くない淫乱な娘のことはどうでも良い?」
「…あんたは、マフィアの…『青薔薇連合会』の人間なの?」
震える声で、お母さんはそう聞いた。
「えぇ、そうよ。何か文句がある?」
マフィアに入らなかったら、私は今でも、身を売るような生活を続けていたはずだ。
ルティス帝国最大のマフィアに入った娘のことを、お母さんはどう思っているのだろう。
どうやらお母さんは、私がマフィアに入ったことについて、文句はないようだった。
代わりに、すがるような目付きで私にこう言った。
「…だったら、お願いだよ。私を解放して、借金を肩代わりして欲しいんだ」
「…」
「今のあんたになら出来るんでしょう?お願いだよ。親孝行だと思って」
その言葉に私は、思わずカッとなって叫んだ。
「ふざけたことを言わないで。親孝行なんて、してもらえる立場だと思ってるの!?」
「…!」
よくもまぁ。私を前にして、親孝行だなんて言葉が使えたことだ。
親らしいことなんて、何一つしてこなかった癖に。
「私は一度だって、あなたに可愛がられたことはない。あなたはいつも、お兄ちゃんばかりだった。私なんて邪魔者だとしか思ってなかったんでしょ?それなのに、困ったときだけ私に頼るの?」
「それは…だって…」
「私がお兄ちゃんに酷いことされてるのも、知ってた癖に…何もしなかったじゃない!男と遊び歩いてばかりで…。その借金だって、男と遊んで貢いで出来た借金でしょ?それを何で、私が肩代わりしなきゃならないの?」
あれだけ蔑んで、虐げて、愛情の欠片すら注がなかった娘に助けられる。
嫌じゃないのか?恥ずかしいと思わないのか?プライドの欠片もないのか?この人は。