The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「…黙ってないで、何とか言いなさいよ」

何か言い訳があるなら、聞いてやる。

「…何だかんだ言ったって…親子じゃない。あんたは私の娘なんだから…私を助けてくれても良いでしょ」

「…」

絞り出すように、お母さんはそう訴えた。

「あの頃は…あんたには悪いことしたと思ってるよ。悪かった。私が悪かった…。でもそんなの、もう昔の話じゃない…。今は幸せなんでしょ?裕福なんでしょ?じゃあ、もう良いじゃない」

…あれは、もう昔の話?

今は幸せなんだから、もう良い?

何が?何が良いって言うの?

「大体…あんただって、お兄ちゃんを…。お兄ちゃんを殺したの、あんたなんでしょ?悪かったと思ってないの?今、私を助けてくれたら…お兄ちゃんを殺したことは水に流すから…だから…」

「…もう良いわ。喋らなくて良い」

これ以上、話すことなど何もない。

誠心誠意謝って、改心するつもりがあるなら…私も、少しは考えたけど。

この女を、あと一秒でも生かしておく価値はない。

私は拳銃を抜いて、お母さんの眉間に当てた。

「私は『青薔薇連合会』幹部で、マフィアの女よ。そんな私でも、これだけは断言出来る…。あなたは生きている価値のない人間だわ」

「や、やめて!悪かったから…謝るから…!」

「謝らなくても良いわ。いくら謝られても、許すつもりなんてないから」

お母さんはみっともなくぼろぼろと涙を流しながら、必死に私に命乞いをした。

「あ、あんたはまた家族を殺すことになるのよ。兄と、今度は母親を!地獄に堕ちるわよ!許されることだと思うの!?」

「…残念ね。許してもらう必要なんてないわ」

むしろ、許されてしまうと困るのだ。

私は死んだら、地獄に堕ちると決めているのだ。

だって。




< 476 / 791 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop