The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「…まずは、説明が欲しいな」

会議の冒頭で、オルタンスはそう言った。

「我々は『青薔薇連合会』と『セント・ニュクス』という二つのマフィアが抗争状態になり、その抗争において『セント・ニュクス』が化学兵器を使用したということだけしか知らない。ここに至るまでの詳しい経緯の説明が欲しい」

…ということは、俺がルリシヤに闇討ちされたところから始まる訳か。

それとも、ルリシヤが『セント・ニュクス』に裏切られたところからか?

なっが。アリューシャが昼寝しちゃうよ。

「…分かりやすく三行にまとめて良いですか?」

「頼む」

「えーっと…。ここにいる元『セント・ニュクス』のリーダーだったルリシヤがもう一人のリーダーに裏切られて『青薔薇連合会』に来る。

我こそ次世代のルティス帝国マフィア代表たと信じて疑わない『セント・ニュクス』が、思い上がって『青薔薇連合会』に宣戦布告。

俺、ルルシーと結婚。以上ですかね」

「成程」

真剣な眼差しで頷くオルタンスに、またしてもアドルファスとリーヴァが噴き出し。

ルルシーが、すかさず突っ込みを入れた。

「ちょっと待て成程じゃねぇ、三行目は何だ」

「え?あぁ…つい、俺の願望が出てしまいました。済みません」

ちょっとしたうっかりだったのに、五番隊隊長のアストラエアは、怒りの眼差しを俺を睨んだ。

「ふざけるな。そんな戯れ言を言っている状況ではないはずだ」

うわぁ…頭カッチコチ。

そんなだからお前の甥は、お前を反面教師にして頭くるくるパーになったんだよ。

あいつ生きてんのかな。名前忘れたけど。

すると、我らがアイズレンシアが苦笑しながら言った。

「うちの幹部が失礼しました。悪気はないのでお許しください」

いや、悪気しかないけど。

「でも、二行目まではその通りですよ。敢えて三行目を訂正するとしたら…。『勢い余って宣戦布告したのは良いけど、まともに戦ったら勝ち目がないから禁忌の手段を使うことにした』ですかね」

あぁ、俺の三行目が訂正されてしまった。

ちょっと寂しい。

「禁忌の手段…それが化学兵器か」

「まぁ…そうでもしないと『青薔薇連合会』には勝てんわな」

お褒めに預かり光栄です。

そう、全ては俺達が強過ぎるが故なのだ。

俺達、罪作りだなぁ。
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