The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
ここで少し、振り返っておくが。
私、アイズレンシア・ルーレヴァンツァは、貧民街の貧しい家に生まれ、教育もまともに受けてこなかった。
ある年、貧民街に流行った病のせいで兄弟を失い。
それがきっかけで、両親は一家心中を図った。
しかし私は、実の親が兄弟達を殺しているところを見つけて、逆に親を殺し。
一人だけ、命からがら逃げ出した。
その後アシュトーリアさんに拾われて、『青薔薇連合会』の幹部になった訳だが…。
実は、一人だけ生きているか死んでいるか分からない兄弟がいた。
我が家が地獄絵図になるその前に、一人だけ逃げ出すことが出来た、幸運な兄。
私の…一番上の兄だ。
彼は、運良くとある貴族の使用人として雇われ、貧民街を出ていった。
その後我が家は一家心中して崩壊し、それ以降私は、兄がどうなったのか知らなかった。
生きているのか、死んでいるのか。
まだあの貴族の家で使われているのか、それとももう、別の仕事をしているのか。
調べようと思えば、調べられた。
でも、私は調べようとは思っていなかった。
マフィアの幹部になった私に、最早兄に会う資格などない。
兄弟が殺されるところを見ていながら、止めようともせず見殺しにし。
挙げ句、この手で自らの両親を殺したこの私が。
どの面下げて、兄に会えるだろう。
兄の安否など、一生分からなくて良い。一生会わなくても良い。
お互いに、その方が良い。
それに私は、今や貧民街の小さなアイズ・アズサルナじゃない。
ルティス帝国最大の非合法組織、『青薔薇連合会』の幹部にして次期首領、アイズレンシア・ルーレヴァンツァなのだ。
過去は捨てた。家族もいない。少なくとも血の繋がった家族は。
私はそう思っていたから、兄の行方を探そうとはしなかった。
しかし。
転機が訪れたのは…実は、『青薔薇解放戦線』と共に、箱庭帝国の革命を行っていた、あのときだ。
どういうことかと言うと…つまり。
一番上の兄、ルドウィカ・アズサルナが使用人として雇われていた貴族の家は。
ルアリスに協力していた…フランベルジュという貴族が当主を務める、ティターニア家だったのだ。
私達は『青薔薇解放戦線』に協力することを決めた後、ティターニア家の邸宅を訪ね、ルアリスと共に当主のフランベルジュと会談を行った。
実は、私はそのときに兄に再会したのだ。
顔を見て、お互いすぐに分かった。
あのときは、私は何も言わなかった。言いたいことは色々あったけど、あのとき優先すべきは『青薔薇解放戦線』の革命の件であって、私情を挟んでいる余裕なんてなかった。
だから私はあのとき、顔色一つ変えずに仕事を優先し、革命の話だけを進めた。
兄も兄で、マフィアと一緒にいる私を見て、私の今の立場を理解したのだろう。
彼も何も言わず、お互い、落ち着いてから会おうと決めたのだった。
私は会うかどうか迷っていた。だが…もう正体を知られてしまった以上、逃げることは出来なかった。
だからお互い連絡を取り合い、今日ここに、会いに来たのである。
私、アイズレンシア・ルーレヴァンツァは、貧民街の貧しい家に生まれ、教育もまともに受けてこなかった。
ある年、貧民街に流行った病のせいで兄弟を失い。
それがきっかけで、両親は一家心中を図った。
しかし私は、実の親が兄弟達を殺しているところを見つけて、逆に親を殺し。
一人だけ、命からがら逃げ出した。
その後アシュトーリアさんに拾われて、『青薔薇連合会』の幹部になった訳だが…。
実は、一人だけ生きているか死んでいるか分からない兄弟がいた。
我が家が地獄絵図になるその前に、一人だけ逃げ出すことが出来た、幸運な兄。
私の…一番上の兄だ。
彼は、運良くとある貴族の使用人として雇われ、貧民街を出ていった。
その後我が家は一家心中して崩壊し、それ以降私は、兄がどうなったのか知らなかった。
生きているのか、死んでいるのか。
まだあの貴族の家で使われているのか、それとももう、別の仕事をしているのか。
調べようと思えば、調べられた。
でも、私は調べようとは思っていなかった。
マフィアの幹部になった私に、最早兄に会う資格などない。
兄弟が殺されるところを見ていながら、止めようともせず見殺しにし。
挙げ句、この手で自らの両親を殺したこの私が。
どの面下げて、兄に会えるだろう。
兄の安否など、一生分からなくて良い。一生会わなくても良い。
お互いに、その方が良い。
それに私は、今や貧民街の小さなアイズ・アズサルナじゃない。
ルティス帝国最大の非合法組織、『青薔薇連合会』の幹部にして次期首領、アイズレンシア・ルーレヴァンツァなのだ。
過去は捨てた。家族もいない。少なくとも血の繋がった家族は。
私はそう思っていたから、兄の行方を探そうとはしなかった。
しかし。
転機が訪れたのは…実は、『青薔薇解放戦線』と共に、箱庭帝国の革命を行っていた、あのときだ。
どういうことかと言うと…つまり。
一番上の兄、ルドウィカ・アズサルナが使用人として雇われていた貴族の家は。
ルアリスに協力していた…フランベルジュという貴族が当主を務める、ティターニア家だったのだ。
私達は『青薔薇解放戦線』に協力することを決めた後、ティターニア家の邸宅を訪ね、ルアリスと共に当主のフランベルジュと会談を行った。
実は、私はそのときに兄に再会したのだ。
顔を見て、お互いすぐに分かった。
あのときは、私は何も言わなかった。言いたいことは色々あったけど、あのとき優先すべきは『青薔薇解放戦線』の革命の件であって、私情を挟んでいる余裕なんてなかった。
だから私はあのとき、顔色一つ変えずに仕事を優先し、革命の話だけを進めた。
兄も兄で、マフィアと一緒にいる私を見て、私の今の立場を理解したのだろう。
彼も何も言わず、お互い、落ち着いてから会おうと決めたのだった。
私は会うかどうか迷っていた。だが…もう正体を知られてしまった以上、逃げることは出来なかった。
だからお互い連絡を取り合い、今日ここに、会いに来たのである。