The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
初めて会ったときの印象は、本当に…何て言うか。

「得体が知れない連中」と言うのがぴったりだった。

実際彼らは得体の知れない、異様な組織だった。

「…初めまして。あなたがグリーシュ殿ですか」

「はい…あなたは?」

「『愛国清上会』代表の、M・フライデルです」

「…」

とりあえず、仮名ということで良いのかな。

やっぱり聞き覚えがない。

はっきり言って良いものだろうか。失礼に当たりそうだが…。

でも、分からないままに話をするのはもっと失礼か。

そう思って、俺は尋ねることにした。

「そうですか。申し訳ないのですけど…『愛国清上会』というのは?」

「我々の目的はただ一つ。『青薔薇連合会』を含む、祖国を汚す不浄の輩を一掃し、正しい国を取り戻すことです」

「…」

「故に、我々は『セント・ニュクス』に協力を申し出に来ました。必要な費用、情報は全て提供します。代わりにあなた方には戦力を提供して欲しい。共に『青薔薇連合会』を倒しましょう」

…このとき、俺は。

最初、「胡散臭いな」と思った。

だってそうだろう。祖国を汚す不浄の輩…とか、協力したい…とか。

はいそうですかと、信じることは出来なかった。

まぁでも、この手の反社会組織は、何処の国でも珍しくはない。

愛国心を拗らせた若者の集団だろう。

ルニキスは反対していたが、あの頃俺は早く『セント・ニュクス』を大きくしたいと思っていた。大きな組織になれば、『青薔薇連合会』にも対抗出来ると。

協力してくれると言うなら、願ってもない申し出だ。

でも…こいつら、とても信用出来ない。

得体が知れないにも程があるじゃないか。

「…一緒に『青薔薇連合会』を倒すと言っても…。あなた方と組んだからって、そう簡単に出来ることじゃないでしょう」

『愛国清上会』とやらがどれほどの規模を持った組織なのかは知らないが。

彼らの協力だけで『青薔薇連合会』と対抗出来るとは、とても思えない。

そんなに強力な組織なんだったら、俺達が知らないはずがないし。

ちっぽけな非合法組織が仲間になったからって、何にもならないじゃないか。

「あるんですよ、『青薔薇連合会』を一網打尽に出来る方法が…」

「何…?」

「その方法をお教えします。信用してください。我々は長く、その為の研究を続けてきたのです」

「…」

信用してくださいと言う人間は、信用するなと言う人間よりよっぽど信用出来ない。

彼らは、胡散臭いことこの上ない連中だった。
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