The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
トリガーを引き絞り、放たれた弾丸は、真っ直ぐに目標のど真ん中を撃ち貫いた。

「どうよ?アイ公」

『お見事。さすがだね』

インカムから、アイ公の嬉しそうな声が聞こえた。

「やったぜ。見たかアリューシャの勇姿!」

『見た見た。最高に格好良かったよ。君がMVPだね』

聞いたか今の。アリューシャの活躍はルレ公にも勝るぞ。

やっぱアリューシャだな!時代は。

「中まで撃っちゃってどかーん、ってなってない?」

『なってないよ。上手いことロックの部分だけ壊してる』

「開いた?」

『開きそう。ちょっと待ってね…。あ、開いた』

おぉ、そりゃ良かった。

それアリューシャの手柄。褒めて良いよ。

『あとは帝国騎士団が派遣してくれた科学班に一任するよ。アリューシャ、君を回収して私達は一足先に撤収するから、合流ポイントに移動してくれる?迎えに行くから少し待ってて』

「うーい」

アリューシャの今日のお仕事終わり。

MVPも無事確保。

で、それは良いのだけど。

「そういやルレ公とルル公は?まだ無双してんの?」

ルリ公のお友達んとこ、行ってんだよね?

ちゃんと会えたんだろうか。

『丁度今報告が入ってきたよ。『セント・ニュクス』のリーダーは始末したんだけど…結局黒幕の正体は掴めず、だって』

えー。逃げられたってこと?

「それってヤバいんじゃね?」

『そう、ヤバいんだよ。どうしたものかな。これから『セント・ニュクス』の基地を家捜しするけど、何も出てこなかったらアウトだね』

おちおちアリューシャMVP!とか言ってられねぇな、おい。

黒幕さんの正体が分からないことには。

何か良い方法ないかな~と、ちょっと頭を捻ってみる。

「…うーん…」

…見事に何も出てこないぜ。

そもそもアイ公が考え付かないことを、アリューシャが思い付くはずがない。

アリューシャって、狙撃の腕以外はからっきしだもんなぁ。

それを卑下したことは一度もないけど。

たった一つ長所があるんだからそれで良いもんね。

難しいことを考えるのは、アイ公やルレ公の役目。

アリューシャに出来るのは、せめてこう…アイ公の肩を揉んであげよう。

肩揉みアリューシャだ。

よし、それで行こう。

「さて、帰るかな…と」

合流ポイントに急ぐとしよう。
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