The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
迎えに来てくれたアイ公に、アリューシャはシュスリーにもらった『愛国清上会』の住所を渡した。

「アイ公、これあげる」

「なぁに?これ…。何処の住所?」

「『愛国清上会』のねぐらなんだって」

「…」

さすがのアイ公も驚いていた。

そりゃ驚くだろう。何処からこんなものパクってきたんだと。

もらったんだよ。

「どうしたの?」

「んー…。もらった」

「誰に?」

…シュスリーのことは言えないよな。やっぱり。

一応…敵じゃないけど敵組織だもんな。シュスリーは。

「…アリューシャが、アイ公と同じくらい信用してる人」

「…成程」

ここで深く尋ねてこない辺り、アリューシャがアイ公好きな理由、分かるだろ?

「ここに『愛国清上会』が、ねぇ…」

「そこ、どの辺なの?帝都じゃないよね」

アリューシャ、帝都以外土地勘ほぼないから、分かんねぇや。

「ルティス帝国の片隅…ってところだね。箱庭帝国との国境に近い場所だよ」

「フランベルジュって人の家があるとこ?」

「そうだね。その辺りだね」

ほーん。そんな隅っこにいるのか。

もっと堂々と出てくれば良いのに。

「ありがとう、アリューシャ。君のお陰で黒幕の『愛国清上会』を潰せそうだよ」

「アリューシャはもらっただけだから、何もしてねぇよ。…それよりさ、アイ公。頼みがあんだけど」

「何?」

「その住所さ、アイ公が調べて見つけたことにしてよ。アリューシャがもらったって言ったら、ルル公達に色々聞かれそうだから」

誰にもらったんだーとか。その情報は罠じゃないのかーとか。

最悪シュスリーのことまで喋んなきゃいけなくなっちゃうから。

それはやだ。

「分かった。手柄をもらっちゃうね」

「良いよ。代わりに今度、おやつにワッフル置いといて」

「了解」

やったぜ。

これでおつりが来るな。

「それにアリューシャ、今日MVPだぜ。鍵開けたし!北極圏の彼方から鍵開けたんだぜアリューシャ!凄くね?」

「うん、凄いよアリューシャ。今度はもう少し遠くからでも当てられそうだね」

アイ公。君の血は何色だ。

言わなきゃ良かった。

「さて、敵の拠点の在処も分かったし…。皆と合流次第、次の作戦を始めようか。MVPのアリューシャも頑張ってね」

「りょ」

今度は一体、どんな無茶を頼まれることやら。

まぁでも、期待してくれてんなら応えてやろうじゃないか。

アリューシャの取り柄はこれだけだし、それに…。

仲間だからな。

だから、頑張ってやろうじゃないか。




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