The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「…ねぇ、アリューシャ」

「うん?」

「君は、君を置いていった私のことを恨んでるかい?君を捨てた私を…一度でも恨んだことがあるかい?」

置いていった?

アリューシャを捨てた?

そりゃあ、シュスリー…あれだよ。

「アリューシャは馬鹿だからね。人を恨むなんて器用なことは出来ない。それに」

「…それに?」

「アリューシャはシュスリーに捨てられたなんて思ってないよ。シュスリーが、アリューシャを今の仲間に出会わせてくれたんだ。だから…シュスリーには感謝しかしてない」

「…」

人を恨むとか憎むとかは、ルレ公くらい頭の良い人がすることだ。

アリューシャはぶきっちょだから、そんな難しいことはしないし、出来ない。

シュスリーが憎いなんて思わない。

恨んだことなんて一度もない。

「…そうか…。ありがとう」

「どういたしまして」

こっちの台詞だよ、ありがとうは。

シュスリーがいなかったら、アリューシャは今ここにいないんだからさ。

「…仲間、大事にするんだよ。アリューシャ」

「勿論」

「あとお腹出して寝ないように」

「…」

それは…あれだよ。

アイ公がお布団かけてくれるから。アリューシャはアイ公に任せる。

と、そのとき。

「…あ、アイ公だ」

向こうから、アイ公が小走りで駆けてくるのが見えた。

どうしよ。シュスリー見られたら…アイ公に何て言えば良いのかな。

別に疚しいことは何もないけど…でも。

「…あれ?」

振り向くと、そこにはもうシュスリーの姿はなかった。

…あいつ。

何処消えちゃったんだ?

「やぁ、待たせたねアリューシャ。ごめんね」

「アイ公…」

「…?どうかした?」

…まるで、最初からいなかったみたいに消えんなよ。

全くよ。忍者かあいつ。

「…ううん、何でもない」

今のアリューシャの仲間は…こっちだからね。

アリューシャは、こっちで生きていくよ、シュシュリー。






「…またね、アリューシャ」

耳の中に、その声が残っていた。





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