The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「ねぇルルシー、折角だから飲み直しましょうよ。さっきまであんまり飲めなかったでしょ?」

アリューシャはまたふぃ~になっちゃってたし、シュノさんも頭ぽわぽわのお花畑になってたし。

折角だから、二人きりで…情熱的な夜を過ごしたいな、俺は。

ルリシヤと会った、あの日のような。

「別に良いけど…。飲み過ぎて襲ってくるなよ」

「…」

「そこで自信をなくすな。はいと言え」

「ちっ…。はーい」

あわよくば酔っ払った振りをして…と思ったが、無理そうだ。

ちっ。

「それじゃ改めて…ルルシーの瞳に、乾杯」

「やめろ」

はいはい。『青薔薇連合会』の平穏と、ルリシヤの加入を祝して乾杯ね。

全くもー、頭堅いんだから、ルルシーは。

二人きりで飲みながら、話題に上ったのは、やはりあのことだった。

「…ルリシヤは、グリーシュのこと…もう、気持ちの整理がついたのかな」

ルルシーも気になってたか。

俺もちょっと、思ってたよ。

「…表情分かりづらいですからね、あの人。いまいち、何を考えてるのか分かりませんが…」

仮面つけてるからね。

決して、悲しみを隠す為の仮面にして欲しくないが。

「…まだ気にしてるんじゃないですか?やっぱり」

「…そうかな」

口には出さないし、態度にも出さないだけで。

思うところがない訳ではないはずだ。

だって。

「…俺がルリシヤの立場だったら、多分死ぬまで気持ちの整理なんてつきませんよ」

起きてても、寝てても。

笑ってても泣いてても。

多分、ずっと忘れられないだろう。

一番大切な人に裏切られるって、そういうことだ。

「ずっとルリシヤは、俺に似てると思ってました。確かに境遇は似てるかもしれない。でも…俺はルリシヤとは全然違いますよ。最近、それに気づきました」

「そうか?何処がそんなに違う?」

「…俺は、あんなに強くなれませんよ」

自分の命より大事な人が、自分を信じずに、他の人を信じて自分を裏切った、なんて。

俺だったら耐えられない。絶対耐えられない。死んでも耐えられない。

俺には、そんなことは出来ない。

ルリシヤのような強さはない。

「…そういうところ、お前は弱いからな」

「ですよねー」

「…でも、お前はそれで良いと思うよ」

「…ありがとう、ルルシー」

そういうルルシーだから、俺もずっと一緒にいたいと思うよ。
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