The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「ルルシーっ!そろそろ行きましょーっ!」

「…は…?」

ルルシーの部屋を訪ねると、既に皆集まっていた。

しまった。俺が最後だったのか。不覚。

いつもより気合い入れてメイクしてたせいで、ちょっと遅くなっちゃった。

「ってか、お前、何だその格好…!?」

「うふふー、似合うでしょう?」

今日のコーディネートも、いつもより気合いが入っている。

今日は「彼ら」に会うのだから、失礼のない格好をしなくてはな。

あ、でも「彼ら」って言っても、『愛国清上会』のことじゃないよ?

あんなポンコツ化学兵器集団じゃなくて、もっと良いもの。

「しかもお前、くさっ…。何だその香水…」

「酷いルルシー!乙女に向かって臭いなんて!新しくオーダーメイドしてもらったんですよ?」

少し嗅いだだけでメロメロになると、ハーレム会員には大評判である。

そうだというのに、ルルシーと来たら。

ルルシーにはまだ、このえっちな香りは早かったかな?

すると。

「ルレイア、新しい香水は良いとして、早いところ出発しよう。万一にでも遅れたら大変だ」

と、アイズ。

おぉそうだ、そうだった。

「ですね。じゃあ行きましょうか」

「いえーい!楽しみだぜ~」

「私も楽しみ…。こういうの、初めてだから」

「俺も、実際に会うのは初めてだな」

「…?」

乗り気満々の幹部組だが、約一名。

ルルシーだけは、首を傾げていた。

「…一体、何処に行くんだ?」

もー、ルルシーったら。

「冗談よしてくださいよー、ルルシー?さぁ行きましょう。遅れちゃいますよ?」

「何に…?今日、何か予定が入ってたか?」

ルルシーは手帳を取り出し、今日の日付を確認していた。

しかし。

「…何も書いてないんだが」

「ルルシーったら、書き忘れですか?こんな大事な予定を書き忘れるなんて…。全くもう、悪い子ルルシーですね」

「え?いや、済まん…。今日は何があるんだっけ?」

何か大事なお仕事を忘れてしまったのかと、ルルシーは少々焦っていた。

だから、俺は教えてあげることにした。

「良いですか?ルルシー。今日は俺達が待ち望んだ…『frontier』写真集発売記念握手会の日なんですよ!」

「…」

これにはさすがのルルシーも、目を丸くしてぽかんであった。

その顔も好き。

「…『frontier』?写真集?」

「えぇ。写真集」

『frontier』を、皆さんご存知だろうか。

実質引退してしまった『ポテサラーズ』の代わりとして、俺達がファンになったインディーズバンド。『frontier』。

初めは小さなライブハウスで細々と活動していた彼らだが、今では雑誌やラジオに引っ張りだこの人気者。

グループの方針として、テレビにはまだ出演していないものの…。某有名動画サイトでは、チャンネル登録数は百万人を越え、今勢いに乗っている。

俺も、チャンネル登録させてもらった。

そんな彼らは、この度初の写真集を発売した。

『frontier』は『ポテサラーズ』とは違い、歌えるだけでなくメンバーのルックスも抜群で、モデルとしても充分通用する顔をお持ちだ。

だから写真集の話が持ち上がったのだろう。
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