レンアイゴッコ(仮)
結果だけ言うと、鈴木は虫垂炎と腹膜炎を併発させていたらしい。

元気そうなメッセージが届いたので一応安心はしたけれど、入院期間は三週間程度。

「どうするかな〜……」

部長の言葉に頷いた。鈴木に抜けられるのは正直困る。

「とりあえず、派遣に当たってみるから妃立は今受け持ってる仕事に集中すること。いいな」

「……了解です」

後輩の体調の変化に気付けなかった自分を悔やみ、歯を食いしばる。



𓂃𓈒 ❅ *



「こんにちは。今日からしばらくの間お世話になります、派遣の苑田です。よろしくお願いします」

拍手で迎えられる1人の女性。急遽鈴木の代打として部長が見付けたのは、派遣デザイナーだった。

「苑田さんは業界歴も長いし、今発注している“asoviva”さんとも昔仕事をされたことがあるそうなので勝手が分かると思う。妃立、チーフとしてよろしく頼む」

「心強いです、苑田さん、よろしくお願いします」

「よろしくお願いします。世良さんからざっくりと説明は受けました。テーマを決めるなら、asovivaさんは世代を越えた……」

何気なく挨拶を終えるとさっそく仕事に取り掛かった。
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