レンアイゴッコ(仮)
「そういえば、正爾(まさちか)とは連絡ついた?」
不安はほとんどが空虚だと言われている。けれども、ふとした時に、東雲に正爾に任せたことが気になっていたのだ。本当は私が蹴りをつけるべきなのに。
しかし当の本人は頬いっぱいにお好み焼きを頬張り「だれそれ」と惚けるので、まさかそんな説明もしていなかったのかと驚く。
「元彼」
「ああ、浮気男」
どうか目の前の麗らかな乙女に、オブラートに包む程度の配慮を寄越して欲しい。
「そう。浮気男。その後、どう?」
「連絡はつかない。折り返しもこない」
「そっかー……」
ため息とともに肩を落とす。正爾の件に関しては、東雲のおかげで私の平和は守られている。けれども、仕事も両手が足りないほど溜まっている状態の東雲に、これ以上負担になっていいのか。
私が正爾の家に取り返しに行った方が早いかな?
……ていうか、家の住所を知る他人が、私の家の鍵を持っているこの状況、あまり平和じゃないのでは?
「正爾、まさか私の家に上がり込んでないよね」
僅かな憂いを零した。