Re:Love〜7年越しに愛されて〜
「…ま、もう本人連れてきちゃったんだけどな」
「は?」
言葉の通り、同期の後ろには見たくもない顔があった。
いくら定時後とはいえ今は業務中だ。
この会社はセキュリティ保護のため定時を過ぎると各部署の出入り口に施錠がかかり、基本的に自身の所属する部署にしか出入りができなくなる。
他部署に入るには事前に申請を出しておくか、その部署の人間に招き入れてもらうしか方法は無い。
チッと舌打ちをしたい気持ちをグッと堪えて元彼を見据える。
「…仕事終わってないの、見たら分かるでしょ。後で電話するから今は帰って」
こちとら昨日休んだせいで今日中に片付けなければならない仕事がまだ残っているのだ。
残業とはそういうものだろう。
体調だって万全じゃない。
今顔を見て話そうものなら余計に悪化するに決まってる。
これまでの態度が嘘のように冷たい日菜子の様子に、同僚も流石に諦めろといった様子で元彼の肩を叩く。
何か言いたげな視線を向けてきたが無視して、カタカタと震える手を反対側の手で隠した。
必死に隠したけれど当然動揺はしていた。
だからこれは時間稼ぎだ。
口の上手いあの男にこれ以上絆されないよう、心の準備をする為に。