異世界から本物の聖女が召喚されたので、聖女見習いの幼女は不要のようです。 追放先でもふもふとパパに溺愛されているので、今更聖女になんてなりません!
「それで? あたしは、どうすればいいの?」
「カイブルが、大事にしていたネックレスを紛失してしまったようでして……」
「んふふー。そっかぁ。それを、あたしが探せばいいんだね! いいよ!」

 キララは上司の指示通りに聖なる力を発揮すれば、カイブルの好感度が上がると勝手に思い込んでいるのだろう。
 2つ返事で了承すると、天高くに右手を勢いよく掲げ、目を閉じた聖女は叫ぶ。

「むむむっ。ネックレスは、迷いの森にあるみたい!」

 カイブルのネックレスは、ロルティが身に着けている。
 彼女が逃げた先は、迷いの森だ。

(私達の計画が予定通り進んでいれば、迷いの森にはすでにいないはずですから……)

 聖なる力の失せ物探しは当たっていると言えるが、そこをいくら探しても現物が見つかることはないだろう。

(偽物だと疑われて、ロルティ様のように虐げられたらいいんです)

 愛する幼子の居場所を奪い、泣かせた。
 その報いを彼女は受けるべきだ。

「ありがとうございます。聖女様。迷いの森へ向かいます」

 感情の籠もらない冷え切った声で坦々と口にした彼は、瞳に轟々と燃え盛る憎悪の炎を揺らしながら、キララに背を向け迷いの森へと向かった。
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