おれは“祓えない退魔師”
第十四話
次の日の早朝、俺は畳の部屋に来ていた。座禅の修行をするために。
昨日のようにあぐらをかいて、背筋を伸ばす。
(頭をからっぽにして、精神統一……)
目をつむって、ゆったりと呼吸をする。
(何も考えない、何も考えない、何も考えない、何もーーー)
「祐くん、祐くんってば!」
ゆさゆさと肩を揺すられて、目を開けると伊都が顔をのぞきこんでいた。
「そろそろ行かないと、朝食に間に合わないよ!」
「え、もうそんな時間? って、もしかして俺、寝てた?」
「うん、イビキかいてた」
「うわぁ……」
(せっかく早く起きたのに、台無しじゃん)
伊都は、頭を抱えている俺を立たせて、引っ張って食堂まで連れて行ってくれた。
授業時間がせまっているため、食堂は人がまばらだった。俺たちは急いで朝食を取ってきて席に着く。今朝のメニューは、焼き鮭だった。
(急いでる時に限って、魚かよ!)
伊都と必死になって鮭の骨を取っていると、隣に二人組が座ってきた。たぶん、クラスメイトだ。名前はーー覚えていない(入学3日目だからしかたないだろ!)。
「あ、神代祐!」
「有名人じゃん!」
朝から高いテンションで話しかけてくる。
(ん? 俺って有名人なのか?)
「あー、はいはい……そんな大したもんじゃねぇって」
それどこれではない俺は、適当にあしらう。
「昨日のあれ、すごかったぞ!」
「結界ぶっ壊しかけたやつだろ?」
その間も、奴らはぺちゃくちゃと昨日のことを話している。
「ーーなぁなぁ、二人はなんで退魔師になろうと思ったの?」
鮭をほぐしていた伊都の手がぴたっと止まる。
「あ、えっと……」
助けを求めるように、目を潤ませてじっとこちらを見つめてくる。たぶん、答えたくないんだろう。
「俺はーー」
とっさに声を張り上げると、二人の視線は俺に集中した。
「えっと、母さんが退魔師で、俺も母さんみたいになりたいなって」
半分本当で、半分はウソ。俺もあまり、人には話したくない。
「へぇ~! お前の母さん、退魔師なんだ」
「じゃあさーー」
カーン、カーン。
始業の鐘が鳴り、クラスメイト二人は慌てて食堂から出て行った。
俺と伊都も残りのごはんをかけこんで、急いで教室に向かう。
「た、たしゅくくん……」
伊都が口をモゴモゴさせながら声をかけてきた。
「ありがとう……」
俺も口の中のものをごくりと飲み込み、少しだけ照れくさくなりながら、伊都の頭をぽんぽん撫でた。
昨日のようにあぐらをかいて、背筋を伸ばす。
(頭をからっぽにして、精神統一……)
目をつむって、ゆったりと呼吸をする。
(何も考えない、何も考えない、何も考えない、何もーーー)
「祐くん、祐くんってば!」
ゆさゆさと肩を揺すられて、目を開けると伊都が顔をのぞきこんでいた。
「そろそろ行かないと、朝食に間に合わないよ!」
「え、もうそんな時間? って、もしかして俺、寝てた?」
「うん、イビキかいてた」
「うわぁ……」
(せっかく早く起きたのに、台無しじゃん)
伊都は、頭を抱えている俺を立たせて、引っ張って食堂まで連れて行ってくれた。
授業時間がせまっているため、食堂は人がまばらだった。俺たちは急いで朝食を取ってきて席に着く。今朝のメニューは、焼き鮭だった。
(急いでる時に限って、魚かよ!)
伊都と必死になって鮭の骨を取っていると、隣に二人組が座ってきた。たぶん、クラスメイトだ。名前はーー覚えていない(入学3日目だからしかたないだろ!)。
「あ、神代祐!」
「有名人じゃん!」
朝から高いテンションで話しかけてくる。
(ん? 俺って有名人なのか?)
「あー、はいはい……そんな大したもんじゃねぇって」
それどこれではない俺は、適当にあしらう。
「昨日のあれ、すごかったぞ!」
「結界ぶっ壊しかけたやつだろ?」
その間も、奴らはぺちゃくちゃと昨日のことを話している。
「ーーなぁなぁ、二人はなんで退魔師になろうと思ったの?」
鮭をほぐしていた伊都の手がぴたっと止まる。
「あ、えっと……」
助けを求めるように、目を潤ませてじっとこちらを見つめてくる。たぶん、答えたくないんだろう。
「俺はーー」
とっさに声を張り上げると、二人の視線は俺に集中した。
「えっと、母さんが退魔師で、俺も母さんみたいになりたいなって」
半分本当で、半分はウソ。俺もあまり、人には話したくない。
「へぇ~! お前の母さん、退魔師なんだ」
「じゃあさーー」
カーン、カーン。
始業の鐘が鳴り、クラスメイト二人は慌てて食堂から出て行った。
俺と伊都も残りのごはんをかけこんで、急いで教室に向かう。
「た、たしゅくくん……」
伊都が口をモゴモゴさせながら声をかけてきた。
「ありがとう……」
俺も口の中のものをごくりと飲み込み、少しだけ照れくさくなりながら、伊都の頭をぽんぽん撫でた。