おれは“祓えない退魔師”

第二十七話

 放課後の畳の部屋ーー校庭で自主練する生徒や、寮に帰る生徒の賑やかな声が遠くに聞こえる。俺は相変わらず座禅の修行を継続中。早朝にもしているけど、それだけじゃ足りない。俺は早く強くなって、士稀に追いつく。そして、母さんを守れる退魔師になるんだ。

 姿勢を正す、目をつむる、力を抜いて呼吸する。なにかが、身体中を巡っているイメージ。ようやくそれを感じ取れるようになった。手を開くと、真ん中に小さな光の玉のようなものが見える。ここに霊力が集中している。

 玉を大きくするイメージ。もっと、もっと霊力を巡らせるんだ。早く、たくさん。

 シュゥゥゥゥゥ

 (やべぇ、小さくなってる)

 光が、しぼむように小さくなっていく。

 (焦るな……冷静に、もう一度呼吸から)

 グゥゥゥゥゥゥ

 手のひらに向かって霊力が身体を巡る。じわじわと熱くなっていく。
 光の玉をぐっ、と握ろうとすると、少しづつ少しづつ玉が大きくなっていく。

 (これ、たぶんだけど、思いっきり手を開いたら玉が飛んでいくんだろうな)

 以前、この玉が手から飛びだした時は無我夢中で覚えていないけどーー

 (イメージ的には合ってる、はず……)

 試しに、窓の外に向かってゆっくりと手を開いてみると、野球ボールほどの大きさの光が、ゆっくりと手から離れた。

 「おそっ!」

 そのままゆっくりと空に向かって浮遊し、しばらくしてシュウゥゥとしぼんで消えていった。

 (対象に当たらなければ消えるってことか)

 「わぁ! 祐くん、操れるようになったの?」

 一緒に座禅修行をしている伊都が、窓の外を見て驚いている。

 「おぅ。やっと、コツがつかめたみたいだ」

 手のひらを閉じたり開いたりして伊都に見せると、伊都は目を輝かせていた。

 「伊都は、どんな感じ?」
 「ぼくもね、なんとなくだけど……」

 伊都は人差し指を立たせて目をつむる。すると、指先がぼやぁと柔らかい光が灯った。

 「おぉぉぉ!! すげーじゃん!!」
 「へへっ、みんなに比べたらまだまだだけどね」

 「あとね、最近、やよい先生に魔法陣の描き方を習ってるんだ」
 「へぇ~」
 「やよい先生は口寄せ(死者や神仏の霊を自身の体に降ろして憑依させ、その霊の意志や言葉を代わりに語る)ができるんだって。僕もやってみたいなぁ~」
 「伊都はいつも憑かれてるから術を使わなくてもいいんじゃね?」
 「自分の意志でやるのと憑かれるのは違うよ~。それとね、あとねーー」

 伊都も自分なりに頑張ってるようで、修行の成果をうれしそうに話してくれた。

 (俺ももっとがんばんなきゃな!)
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