【電子書籍化】出世のために結婚した夫から「好きな人ができたから別れてほしい」と言われたのですが~その好きな人って変装したわたしでは?
「おつかれさま」
 プリシラが、お茶の入ったカップを手渡してくれた。
「ありがとうございます。ふぅ、やっぱり、慣れた場所だと安心します」
「どうなの? 向こうは。軍だから、男性ばかりでしょ?」
「そうですね。ですが、まぁ。仕事に関してはこことあまり変わりはないですね。ただ、向こうのほうが貴重な魔導書はたくさんありましたけど」
「そりゃそうだろ。あっちは国の機関だからな。こっちは民間」
 マーカスが呆れたような声を出した。
「だからですよ、お兄様。あそこはわたしにとっては天国です。今、対応している魔導書は……って守秘義務がありました。まぁ、とにかく、すごい魔導書がたくさんあるんですよ!」
「わかったわかった。アン、そんなに興奮するな。だけど、アンが向こうの仕事を気に入ってくれてよかったよ」
「いやぁ、最高ですね。できれば、他の魔導書も読んでみたいところですが、わたしはあの魔導書一冊を解読すれば、終わりですよね?」
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