【電子書籍化】出世のために結婚した夫から「好きな人ができたから別れてほしい」と言われたのですが~その好きな人って変装したわたしでは?
 その言い分に反論できなかった。実際、学校に通うような子どもたちは、何かの歌から外国語の挨拶くらいは、覚えている。
『ということで、ここで古代文字クイズです』
 いきなり日誌に、すらすらと古代文字を書き出した彼女のペン先の動きから目を離せなかった。
『なんて書いてあるかわかります?』
『わからん』
 まるでにょろにょろとした蛇にしか見えなかった。
『ライオネル・マーレ。マーレ少将の名前は古代文字でこう書きます。あ、一般的な古代文字です。ゾフレで使われる古代文字ですと、ここがちょっとこう変わるんですよね』
 そう言って、今書いたにょろっとした字の下に、今度は角張った文字を書く。
『基本的なところは共通しているのに、こうやって各地区で文字を変えたのは、各地区が手を結んで、神に反乱を起こすのを防ぐためだったとも言われていますね』
『どういうことだ?』
『神話のようなものです。古代文字は現代語に比べて、種類が多いんですよね。それは神が古代人の力を恐れたとか、そんな話です。つまり、小さな力であってもまとまれば驚異になるってことですね』
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