【電子書籍化】出世のために結婚した夫から「好きな人ができたから別れてほしい」と言われたのですが~その好きな人って変装したわたしでは?
軍人の彼らを補佐するのが魔導士だというのに、その魔導士に対して敵対心を剥き出しにしていると言われているのがライオネル・マーレなのだ。
「あの、マーレ大佐ですよね?」
「私が記憶しているかぎり、ライオネル・マーレは軍に一人しか存在しない」
先ほどから父親は顔をあげようとしない。
「マーレ大佐と言えば、大の魔導士嫌い。ここの魔導士らだって、何回、涙を呑んだことやら……」
マーカスの言葉にも悲壮感と同情が漂う。
「そのような相手と私のかわいいアンが結婚だなんて……不幸になるのが目に見えている」
そこでやっとアリスタが顔をあげた。四捨五入すれば五十歳になる彼の目尻には悲しそうにしわが寄っていた。
「国王陛下からの命令なのですよね?」
アンヌッカが確認しようとすれば、父も兄も黙る。つまり、この件に関しては何も言えないということだろう。
「ですが、なぜわたしなのでしょう?」
それが疑問だった。
なぜライオネル・マーレの伴侶としてアンヌッカが選ばれたのか。しかもわざわざ国王が指名してきているわけだ。
「あの、マーレ大佐ですよね?」
「私が記憶しているかぎり、ライオネル・マーレは軍に一人しか存在しない」
先ほどから父親は顔をあげようとしない。
「マーレ大佐と言えば、大の魔導士嫌い。ここの魔導士らだって、何回、涙を呑んだことやら……」
マーカスの言葉にも悲壮感と同情が漂う。
「そのような相手と私のかわいいアンが結婚だなんて……不幸になるのが目に見えている」
そこでやっとアリスタが顔をあげた。四捨五入すれば五十歳になる彼の目尻には悲しそうにしわが寄っていた。
「国王陛下からの命令なのですよね?」
アンヌッカが確認しようとすれば、父も兄も黙る。つまり、この件に関しては何も言えないということだろう。
「ですが、なぜわたしなのでしょう?」
それが疑問だった。
なぜライオネル・マーレの伴侶としてアンヌッカが選ばれたのか。しかもわざわざ国王が指名してきているわけだ。