野いちご源氏物語 〇一 桐壺(きりつぼ)
 左大臣(さだいじん)(みかど)のご信頼が厚い上に、ご正妻(せいさい)は帝の同腹(どうふく)妹宮(いもうとみや)でいらっしゃる。さらにそこへ源氏(げんじ)(きみ)婿君(むこぎみ)としてお迎えになったから、右大臣(うだいじん)は完全に負けてしまわれた。
 右大臣(うだいじん)弘徽殿(こきでん)女御(にょうご)父君(ちちぎみ)で、東宮(とうぐう)祖父君(そふぎみ)。東宮が帝におなりになれば権力を(ひと)()めできるはずだけれど、今は左大臣の顔色をうかがうしかない。

 左大臣のご正妻には、源氏の君とご結婚された姫君(ひめぎみ)の他に、ご子息(しそく)がひとりいらっしゃる。右大臣は左大臣と仲がお悪いものの、この若くて美しい貴公子(きこうし)が他の家の婿(むこ)になってしまうのは()しい。ご自分の姫君、つまり弘徽殿の女御の妹君(いもうとぎみ)と結婚させなさった。
 左大臣が源氏の君を大切にお世話なさるのと同じくらい、右大臣も婿君を大切になさる。理想的な婿と(しゅうと)のご関係だった。
< 14 / 16 >

この作品をシェア

pagetop