【おまけ追加】塩対応の汐宮先生は新人医局秘書にだけ甘くとける
「さっきの言葉、信じてますよ。ボヤボヤしてたら、俺がいただきますから」

 大迫が通りすがりに俺に言った言葉だ。
 さっきの言葉とは「叶恋と付き合っている」と言った俺の言葉で間違いないだろう。

 プライベートな話とはいえ、先輩医師にかなり失礼な物言いをしていた大迫の目的はなんだったのか。

 森下先生の話では、あいつも叶恋のことを想っていたんじゃなかったのか?

 「俺がいただきますから」ならわかる。
 俺を煽っていたのだろう。
 だが「信じてますよ」か……。

「……謎だな」

 案外あいつ、いい奴なのか?
 叶恋の幼馴染の真意はわからなかったが、問題視するのはそちらではなく、元カレの方だと思い直す。

 10月から誠仁館医科大学の担当か。厄介だな。

 俺は出会った日に、元カレによってボロボロに傷ついた叶恋を目の当たりにしている。
 そんな男に再会して、叶恋がまた傷つかなければいいが……。

 今後はそいつの動向をチェックしておかないとな。

 
 ◇ ◇ ◇
 

 感染症対策委員会の会議は無事開催された。

 教授それぞれの好みを反映したケーキを、その場でBOXから選んでいただく形を取ったことで、先生方の期待は高まった。

 重鎮と思われる教授から順に選んでいただくと、面白いほど思った通りのケーキを選ばれる。
 揉めることは一切なかった。

 そして大変ややこしいドリンク類は、消化器内科の教授秘書さんがヘルプに入って下さり、お待たせすることなく提供することが出来た。

 美味しいスイーツでお茶をしながらの会議は和やかに進み、先生方も大満足だったようだ。

 病院事務局長のホッとした表情を見ていると、これは成功したと言っていいのだろう。

 会議のメンバーの中では一番新米の黒川教授も「ありがとう! 皆さん満足されていて、僕も顔が立ったよ」と言ってくださった。
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