【おまけ追加】塩対応の汐宮先生は新人医局秘書にだけ甘くとける
 デートがなくなり、思いがけず時間ができてしまったが、そのまま誰もいない家には帰りたくなかった。

 時計を見ると、午後八時。
 やりきれない気持ちを抱えながら繁華街をふらふらと歩いていると、商業ビルから人があふれ出してきた。

 「すっごく良かったー!」
 「感動で涙腺崩壊~」
 「泣けたよねー」

 といった声が聞こえてくる。
 映画を観終わった人が出てきたのか。

 人波に逆らい、映画館の中へ入っていくと、今日はハリウッドの巨匠と呼ばれる監督の映画が公開初日だったようだ。

【レイトショー 残席2】

 レイトショー……映画か。
 陽介さんとの初デートで観に行ったきりだ。

 一人になって、頭を整理したかった。
 でも一人になりたくない。

 そんな矛盾した思いを抱える私にとって、満席に近い映画館はうってつけに思えた。

 チケットを購入し、私は映画館に入っていくことにした。
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