【おまけ追加】塩対応の汐宮先生は新人医局秘書にだけ甘くとける
「お酒ってね、積み重ねなところがあって、飲むのをやめてしまうと途端に飲めなくなるんだ。また飲めるようになるには少しずつ飲酒を重ねてリハビリが必要かな」
「はぁ……なるほど」
「お父さんの看病もあって、しばらく飲んでいなかったんだろう? まあ、きっと元々飲める方ではないように見受けられるけどね」
「お、おっしゃる通りです……」
「これからは伊原さんの体調に相談しながら勧めるから、これに懲りずに宴会に参加してくれるといい」
「ありがとうございます!」
うう、なんて優しいんだ。
「それで……永真とは……」
「え?」
「あ、いや、汐宮先生とは……」
「ああ! 昨日、寝てしまった私を送ってくださいました。両親も感謝していまして」
「伊原さんは、永真と知り合いだったの?」
「え?」
永真って……?
「永真は姉の息子で、私の甥なんだ」
「甥!? そ、そうだったんですね……」
汐宮先生の叔父様!
え、どうしよう。なんていえばいいんだろう!
「珍しいんだよ。永真が女性を気に掛けるなんて。それでちょっと気になったんだ」
「あ、あの……その……」
「いや、無理に話さなくてもいいよ。ただおそらく今日はみんなに聞かれるだろうから」
え? 何を?
「『塩対応の汐宮先生』それが永真のあだ名。
女性にはとことん塩対応なんだ。
でも伊原さんには違うみたいだから」
「プッ……それギャグですか?」
「みんなうまく言うだろう?
でもかなり的を射ているあだ名なんだ」
「……汐宮先生には、私が以前とても落ち込んでいるときに助けていただいたんです。
まさかここの医局の先生だとは知らなくて、昨日は偶然再会して驚きました」
汐宮先生のおうちに泊めてもらったことはさすがに言えないけど、これは事実をそのまま言っている。
この説明で間違いないと思う。
「そうか! じゃあ……運命かもしれないね……」
「え? なんでしょう?」
「いや、なんでもない。よくわかったよ」
ぼそっとおっしゃった言葉が聞き取れなかったけれど、ニコニコしてらっしゃるし、今の説明で納得してくださったようだ。
それにしても怒られるどころか体調を気遣ってくださって、優しい上司で良かったー。
その後も、次々と出勤してきた先生方に体調を気遣う言葉をかけていただいた。教授と同じで、皆さんとても優しい。
そして皆さん一様に、一瞬私をじっと見てニコニコ笑いながら「汐宮先生はとても親切な人だからね」とおっしゃった。
もちろんその通りなので「はい、感謝してます」と答えると、さらにニコニコしながら去っていかれた。
その去り際の生暖かい視線を見ると、何か勘違いさせてしまったのかもしれない。
けれど、困ったことにそれ以上を聞いてこない先生方に対して、こちらから何かを言うことは出来なかった。
菜々ちゃんからは案の定、汐宮先生との関係を質問され、教授に答えたのと同じ説明をした。
全く納得がいってない様子だったけれど、さすがに過去、一夜を共にした行きずりの関係だ……なんて言えないもの。そのまま押し通した。
昨日の菜々ちゃんと汐宮先生の会話だと、汐宮先生が医局に現れることはほとんどないみたいだから、きっと先生方や菜々ちゃんの関心からフェイドアウトできるだろう……と思っていたのに――。
「体調はどうだ?」
「汐宮先生!」
めったに医局に現れないという汐宮先生が、朝から医局に現れた。
「はぁ……なるほど」
「お父さんの看病もあって、しばらく飲んでいなかったんだろう? まあ、きっと元々飲める方ではないように見受けられるけどね」
「お、おっしゃる通りです……」
「これからは伊原さんの体調に相談しながら勧めるから、これに懲りずに宴会に参加してくれるといい」
「ありがとうございます!」
うう、なんて優しいんだ。
「それで……永真とは……」
「え?」
「あ、いや、汐宮先生とは……」
「ああ! 昨日、寝てしまった私を送ってくださいました。両親も感謝していまして」
「伊原さんは、永真と知り合いだったの?」
「え?」
永真って……?
「永真は姉の息子で、私の甥なんだ」
「甥!? そ、そうだったんですね……」
汐宮先生の叔父様!
え、どうしよう。なんていえばいいんだろう!
「珍しいんだよ。永真が女性を気に掛けるなんて。それでちょっと気になったんだ」
「あ、あの……その……」
「いや、無理に話さなくてもいいよ。ただおそらく今日はみんなに聞かれるだろうから」
え? 何を?
「『塩対応の汐宮先生』それが永真のあだ名。
女性にはとことん塩対応なんだ。
でも伊原さんには違うみたいだから」
「プッ……それギャグですか?」
「みんなうまく言うだろう?
でもかなり的を射ているあだ名なんだ」
「……汐宮先生には、私が以前とても落ち込んでいるときに助けていただいたんです。
まさかここの医局の先生だとは知らなくて、昨日は偶然再会して驚きました」
汐宮先生のおうちに泊めてもらったことはさすがに言えないけど、これは事実をそのまま言っている。
この説明で間違いないと思う。
「そうか! じゃあ……運命かもしれないね……」
「え? なんでしょう?」
「いや、なんでもない。よくわかったよ」
ぼそっとおっしゃった言葉が聞き取れなかったけれど、ニコニコしてらっしゃるし、今の説明で納得してくださったようだ。
それにしても怒られるどころか体調を気遣ってくださって、優しい上司で良かったー。
その後も、次々と出勤してきた先生方に体調を気遣う言葉をかけていただいた。教授と同じで、皆さんとても優しい。
そして皆さん一様に、一瞬私をじっと見てニコニコ笑いながら「汐宮先生はとても親切な人だからね」とおっしゃった。
もちろんその通りなので「はい、感謝してます」と答えると、さらにニコニコしながら去っていかれた。
その去り際の生暖かい視線を見ると、何か勘違いさせてしまったのかもしれない。
けれど、困ったことにそれ以上を聞いてこない先生方に対して、こちらから何かを言うことは出来なかった。
菜々ちゃんからは案の定、汐宮先生との関係を質問され、教授に答えたのと同じ説明をした。
全く納得がいってない様子だったけれど、さすがに過去、一夜を共にした行きずりの関係だ……なんて言えないもの。そのまま押し通した。
昨日の菜々ちゃんと汐宮先生の会話だと、汐宮先生が医局に現れることはほとんどないみたいだから、きっと先生方や菜々ちゃんの関心からフェイドアウトできるだろう……と思っていたのに――。
「体調はどうだ?」
「汐宮先生!」
めったに医局に現れないという汐宮先生が、朝から医局に現れた。