【おまけ追加】塩対応の汐宮先生は新人医局秘書にだけ甘くとける
莉久と会う
それから数日後のこと。莉久くんから連絡があり、食事をすることになった。
仕事終わりに約束したお店は、偶然にもお母様と食事をしたホテルのラウンジだった。
なぜそんなことになったかというと、ひとえに莉久くんの人気ぶりのせいだ。
病棟にいるナースすべてを魅了する莉久くんは、毎日のように食事の誘いが絶えない。
もちろん食事だけじゃなく、複数での飲み会や、デートのお誘いと引く手あまたなのだ。
病院の近くで食事なんでしようものなら、きっと次の日には、私は女の子たちの視線に抹殺されるに違いない。
そんな事態は避けたいので、少し離れたホテルのラウンジで会おうということになったのだ。
「ここなら、21時まではホテル会員かブラックカード保持者しか入れないラグジュアリーアワーになっている。安心して喋れるんだ」
そういって、莉久くんはさらっとブラックカードを見せてくれた。
なるほど。大迫美容外科の跡取りだもの、ブラックカードを持っていて当然なのだろう。
しかも会員特典を知り尽くしているようだ。
「莉久くんのファンの子にバレないようにしたいからね。助かるわ」
「俺は誰に見られても平気だけど? こんな可愛い女の子と食事なんて、みんなに自慢したいくらいだよ」
「もうーっ! 莉久くんったら、それデートする女の子みんなに言ってるんでしょ」
「バレた?」
アハハハと笑う莉久くんは、やはり俳優顔負けのイケメンさん。さっきからウエイターさんまでチラチラと見ているのが分かる。
男性をも魅了するのか……さすが元イケメン子役。
ただ、軽い口調でも、生まれ持った品の良さで軽薄なイメージには見えない。
軽さも含めて莉久くんの魅力なんだろうな。
「何にする? まずはシャンパンで乾杯かな」
「私、アルコールは弱いの。ほんの少しだけなら」
「じゃあミモザにしようか。シャンパンをオレンジジュースで割っているんだ」
莉久くんの言う通り、ミモザは飲みやすくて、私に合っていた。
乾杯してお互いの芸能生活が終わった後のことを話す。
「俺は進学校に進んで、ひたすら勉強。なんとか現役で誠仁館医科大学に入って今に至るってとこかな。
芸能活動は一旦やめてたけど、大学時代からモデルの仕事だけたまにやってる」
「そうなの!? 知らなかった」
「叶恋は見ないだろうな。メンズナンノって雑誌知ってる?」
知らないわけがない。
私が生まれる前からある老舗雑誌だ。
「もちろん知ってる。見たことはないけど、すごいところでモデルやってたんだね……」
「学業優先にしていたから、時間のある時だけだよ」
それでさっきから、男の人からの視線も集めていたのね。納得だわ。
「いずれは俺自身が広告塔の役割をするつもりだから、モデルはその布石ってとこかな。
まあ、俺はお直しの必要なんてないんだけど?」
そう言って美麗なウインクを決める莉久くん。
「お直しって……プッ! おもしろいなぁ」
莉久くんはこんなジョークを言うようなタイプじゃなかった気がするけど、トーク力が磨かれた気がする。
それだけ大人になったってことかな。
仕事終わりに約束したお店は、偶然にもお母様と食事をしたホテルのラウンジだった。
なぜそんなことになったかというと、ひとえに莉久くんの人気ぶりのせいだ。
病棟にいるナースすべてを魅了する莉久くんは、毎日のように食事の誘いが絶えない。
もちろん食事だけじゃなく、複数での飲み会や、デートのお誘いと引く手あまたなのだ。
病院の近くで食事なんでしようものなら、きっと次の日には、私は女の子たちの視線に抹殺されるに違いない。
そんな事態は避けたいので、少し離れたホテルのラウンジで会おうということになったのだ。
「ここなら、21時まではホテル会員かブラックカード保持者しか入れないラグジュアリーアワーになっている。安心して喋れるんだ」
そういって、莉久くんはさらっとブラックカードを見せてくれた。
なるほど。大迫美容外科の跡取りだもの、ブラックカードを持っていて当然なのだろう。
しかも会員特典を知り尽くしているようだ。
「莉久くんのファンの子にバレないようにしたいからね。助かるわ」
「俺は誰に見られても平気だけど? こんな可愛い女の子と食事なんて、みんなに自慢したいくらいだよ」
「もうーっ! 莉久くんったら、それデートする女の子みんなに言ってるんでしょ」
「バレた?」
アハハハと笑う莉久くんは、やはり俳優顔負けのイケメンさん。さっきからウエイターさんまでチラチラと見ているのが分かる。
男性をも魅了するのか……さすが元イケメン子役。
ただ、軽い口調でも、生まれ持った品の良さで軽薄なイメージには見えない。
軽さも含めて莉久くんの魅力なんだろうな。
「何にする? まずはシャンパンで乾杯かな」
「私、アルコールは弱いの。ほんの少しだけなら」
「じゃあミモザにしようか。シャンパンをオレンジジュースで割っているんだ」
莉久くんの言う通り、ミモザは飲みやすくて、私に合っていた。
乾杯してお互いの芸能生活が終わった後のことを話す。
「俺は進学校に進んで、ひたすら勉強。なんとか現役で誠仁館医科大学に入って今に至るってとこかな。
芸能活動は一旦やめてたけど、大学時代からモデルの仕事だけたまにやってる」
「そうなの!? 知らなかった」
「叶恋は見ないだろうな。メンズナンノって雑誌知ってる?」
知らないわけがない。
私が生まれる前からある老舗雑誌だ。
「もちろん知ってる。見たことはないけど、すごいところでモデルやってたんだね……」
「学業優先にしていたから、時間のある時だけだよ」
それでさっきから、男の人からの視線も集めていたのね。納得だわ。
「いずれは俺自身が広告塔の役割をするつもりだから、モデルはその布石ってとこかな。
まあ、俺はお直しの必要なんてないんだけど?」
そう言って美麗なウインクを決める莉久くん。
「お直しって……プッ! おもしろいなぁ」
莉久くんはこんなジョークを言うようなタイプじゃなかった気がするけど、トーク力が磨かれた気がする。
それだけ大人になったってことかな。