【おまけ追加】塩対応の汐宮先生は新人医局秘書にだけ甘くとける
「俺のことはいいよ。それより叶恋の驚くようなニュースってなんだよ」

「ああ、私ね、あれから弟が出来たのよ」

「弟? あれからって……クッキングアイドル辞めたの、中二の終わりだったよな? 
ずっと一人っ子だったのに」

「そう。15歳離れてるんだー。写真見る?」

 私はスマホ取り出し、双子の写真をスクロールした。

「双子!? しかも一卵性か……全く見分けがつかないな」

「ふふっ、こっちが司馬でこっちが生馬。可愛いでしょ?」

「可愛い。……この子たち、芸能界には?」

「え。そんなの全く考えていないわ」

「それはもったいないな。
これだけ似ていて、しかも既にイケメンの片鱗が伺える。原宿を歩けばすぐにでもスカウトが来そうだけど」

「じゃあ、東京に遊びに行ったとしても、原宿は行かないようにするわ」

 双子にはあんな窮屈な思いはさせたくない。
 もちろん本人たちに興味があるなら別だけど。

「……おばあちゃんが亡くなったのは言ったわよね」

「ああ……聞いた。病気だったのか?」

「交通事故。飲酒運転の車が歩道に飛び込んできたの」
「それはお気の毒に……」

「私はおばあちゃんに育てられたようなもの。
撮影の時もいつも傍にいてくれたのよ。
おばあちゃんが亡くなって、全く笑えなくなって……。
そんな中、亡くなってすぐだったのよ、母の妊娠が発覚したのは。
転機だと思った。
だから芸能界は辞めて、地元の高校に通って、双子の子育てを手伝うことにしたの」

「そっか……。叶恋、めちゃくちゃ人気だったからもったいないけど、おばあさんがいてこその叶恋だったもんな」

 うん。そうなのよ。
 やっぱり子役時代からの旧知の仲だと、よく理解してもらえているなぁ。

「それにしても……この子たち、一般人でいるのはもったいないな。子役やってきたからわかるけど、デビューしたらこのビジュアルだけでロケットスタートできそうなのに」

「双子が望めばね。
まあ今はサッカーに夢中のごく普通の小学生だから、全く興味無いと思うけど」

 莉久くんはしきりに『もったいない』を繰り返していたけど、私には全くその気がなかった。
 双子にはのびのびと自由な人生を歩んで欲しかったからだ。
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