黒澤くんの一途な愛


──ドカッ、バキッ!


人が殴り合う音が、倉庫内に響く。


黒澤くんに、赤松くんと村崎くんも加勢するが、3人に対して横峯の仲間は軽く10人以上はいる。


人が殴り合うのを見るのはやっぱり怖くて、思わず目を閉じそうになっていると。


「来い」


ソファに座った横峯に腕を引っ張られ、彼の隣に乱暴に座らされた。


横峯はソファの背にもたれながら、紫煙をくゆらせる。


みんなが戦っているなかで一人タバコを吸って、随分と余裕だなぁ。


「ククッ。さすがのあいつらも、あの人数では負けるだろう」


確かに人数では黒澤くんたちは劣ってるかもしれないけど、負けるだなんて勝手に決めつけないで。


黒澤くんたちは、みんな強いんだから。


絶対に勝ってくれる……!


横峯にもそう言ってやりたいけど、猿ぐつわのせいで口が自由じゃないから何も言えない。


「なぁ。お前もそう思うだろ?」


横峯がふいに私に話しかけてきた。

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