姉の代わりにお見合いしろ? 私に拒否権はありません。でも、あこがれの人には絶対に内緒です
「な、奈緒?」
麻子が呼びかけた。
顔立ちは叶奈とよく似ているが、背丈は少し高いだろうか。
お腹はふっくらとしているようで、ゆったりしたオーバーブラウスを着ている。
「お母さん?」
「奈緒!」
麻子が奈緒の前まで走り寄って、ギュッと抱きしめている。
「「会いたかった」」
お互いに、同じ言葉を口にしている。
奈緒はポロポロと涙を流しながら「お母さん」「お母さん」と繰り返すだけだし、麻子はなにも話せないようで、ただうなずいている。
「さあ、中に入ろう」
抱き合うふたりに声をかける崇の目元も。いつもより赤いようだ。
叶奈はただぼんやりと父母と姉を眺めていた。ドラマの一場面のようで、まだ現実のこととは思えない。
自分には本当に姉がいたんだと、うれしいような照れくさいような不思議な気持ちが込みあげてくる。
「……なんてこと」
やっと気を取り直したのか、琴子が家政婦に支えられながら立ち上がった。
「とにかく、こちらにいらっしゃい」
琴子の厳しいひと言で、皆がダイニングルームに集まった。