姉の代わりにお見合いしろ? 私に拒否権はありません。でも、あこがれの人には絶対に内緒です



「奈緒さんの予定日はいつだったかな?」
「九月の下旬だと聞いています」

「その頃は、叶奈はメルボルンにいるんだろう」
「ええ。だけど赤ちゃんに会いたいです」

「じゃあ、帰ってくればいい」

海外生活に慣れている譲は、時差はほとんどないし、半日あれば帰ってこられると簡単そうに言う。

「帰ってきたら俺たちもデートできるだろう」

波打ち際まで歩いてきた譲がヒョイと叶奈の膝裏を持ち、横向きにしたまま抱きあげる。

「キャッ」

慌てて落ちないように譲の首に腕を回した。
いつもなら見上げる位置にある譲の顔がとても近くにあって、叶奈は慌てて目をそらす。

「叶奈、待ってるよ」

そう言われてから、譲に視線を戻した。
その目には叶奈だけが映っているのがはっきりと見えた。

叶奈はそっと目を閉じる。

叶奈の唇に触れてくる、柔らかな唇。

「大好きだよ、叶奈」
「私も、大好き」

もう一度優しく触れたと思ったら、あっという間に激しく叶奈の口腔を覆い尽くした。

住むところなんてどこでも構わない。叶奈の居場所は、譲のいるところ。
これから先、譲の仕事で世界中のどこに住むことになっても叶奈は寄り添っていたい。
きっと譲も同じ気持ちでいてくれる。

ふたりのキスは、しばらく続いた。
叶奈の耳に波の音が聞こえなくなるくらい、情熱的な口づけだった。








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