姉の代わりにお見合いしろ? 私に拒否権はありません。でも、あこがれの人には絶対に内緒です
「だがなあ」
「私が何とかします」
麻子は自分が資金調達をすると宣言した。
「あの人に頼んでみようと思います」
「崇さんにか」
「別れるとき慰謝料や養育費を受け取っていませんし、あの人なら大金でもすぐに動かせるでしょう」
崇というのは、麻子の別れた夫の名前だった。
松尾電機という大きな会社のひとり息子で、今や副社長になっている。
この窮状をなんとかするには、資産家である元夫に援助してもらうしか方法はなさそうだ。
「あの男に、頭を下げるのか」
「それで店が助かるなら、簡単なことよ。それにこれから店は忙しくなりそうだし、借りたお金は私が絶対に返してみせるわ」
祖父母は無理をさせたくないと止めるが、麻子の気持ちは固まっていた。
別れた以上、二度と崇と会う気はなかったが、この店を守れるのは自分だけだと覚悟を決めたのだ。
麻子は翌日には、元夫に連絡を入れていた。