姉の代わりにお見合いしろ? 私に拒否権はありません。でも、あこがれの人には絶対に内緒です


恭介が紹介してくれる。

「こちらは遠藤叶奈さん、松尾電機の社長のお孫さんだ」

「はじめまして」

上品に頭を下げてくれるのだが、どうやら初対面に見せたいようだ。
驚きすぎて、話を合わせる余裕もなかった。

「どうかしたか?」

「いや、知り合いにそっくりで驚いたんだ」

なんとかごまかしたが、叶奈の顔色はあまりよくない。なにか隠し事をしているのがすぐにわかった。

「悪い、挨拶に行かなくちゃいけないんだ。またな」
「あ、ああ」

そう言い残して、恭介はほかの招待客に挨拶をしに行ってしまった。
その横には叶奈がピッタリと寄り添っている。

(メルボルンには行ってなかったんだな)

まさか東京にいて、恭介と一緒にパーティーに出席しているとは。しかも叶奈は松尾電機の会長の孫だという。

(いったいどういうことだ)

譲は焦る気持ちを抑えきれなくなっていた。
ふと会場を見渡したら、もう叶奈の姿は見えなくなっていた。







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