姉の代わりにお見合いしろ? 私に拒否権はありません。でも、あこがれの人には絶対に内緒です
海に行く約束をした日から、どれくらい経っただろうか。
週末に東京へ戻ったとき、友人の婚約披露パーティーに出席したら懐かしい顔を見つけた。
高校時代はライバルとして試験の順位を争った仲だ。
医学部に進み、今は医師としてロサンゼルスで研修を積んでいると聞いていた。
「やあ、譲じゃないか」
「恭介、帰ってきたのか」
久しぶりに会った香川恭介の元気そうな姿を見て、お互いに声をかけあった。
形成外科医として活躍しているときいているが、その表情からも自信のほどがうかがえた。
恭介のうしろに女性の影がちらりと見えた。
もったいぶっているのか、恭介が意図的に隠しているのか、どちらだろう。
「おや、今日はパートナーと一緒か? すみにおけないな」
つい気になって尋ねてしまった。
「ああ、紹介するよ。こちらは」
恭介が少し身を傾げると、小柄な女性の姿があらわになる。
高原をイメージさせる若草色が目に優しい。女性はレース使いのドレスを着ていて上品な印象だ。
「⁉」
思わず声が出そうになってしまった。
よく見れば、目の前にいるのはずっと会いたいと思っていた人ではないか。
なぜここにいるのか。どうして恭介と一緒にいるのか。譲は混乱しながら、その人の名前を呼んだ。
「叶奈さん?」