大嫌いな王子様 ー後編ー
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「あれー?晴、なにやってんの?」

「わぁ!和希兄ちゃん、しーっ!」


学校帰り、電柱の影に隠れてコソコソしてる晴がいた。


「なに見てんの?」

電柱から覗くと、少し先の公園に数人の女の子がいた。


「だれ?友達?」

顔が赤い晴。


「わかった。好きな子いるんだろ?」

「わー!和希兄ちゃん、静かにしてー!」

「いや、お前の方が声でかいから」



晴と少し歩いた先にある広場にやってきた。


「これ飲める?」

「ありがとう!」

近くの自販機で買ったジュースを晴にあげた。



「2つに髪をくくってた子が…好きな子で…」

すげー顔が赤い。
わかりやすいな。

「ふーん。じゃあ告白すれば?」

「出来るわけないよ!!恥ずかしいしぼくなんか…!!」


この年でも色々考えんだな。


「晴はなんでその子を好きになったんだ?」


なんか…わかんないけどすごく気になった。



「チヒロちゃんって言うんだけど…ぼくが体育でこけた時すぐ助けに来てくれてすごく優しかったんだ。席も隣でお喋りして楽しいし、教室でもいつも明るくてみんなに人気者なんだよ」

「へぇ〜…ライバル多そうだなぁ?」

「やっぱりそう思う!?」

晴が興奮のあまりか、立ち上がった。



「あ…ごめんなさい。。チヒロちゃん、ほんとにすごく人気だから」

「だから?」

「えっと…ぼくなんて……なにも出来ないし…」


なんとなく晴の気持ちがわかる気がした。



「あのさぁ“ぼくなんて”は禁止な?そんなこと思った時点で負けだぞ?」

「でも!もっとかっこいい友達とかいるんだもん!アキラくんとかサッカーも出来るしかっこよくて人気なんだよ!」

「チヒロちゃんがアキラを好きかなんてわかんないじゃん」


俺は晴の頭を撫でた。


「なぁ晴。早い者勝ちと残り物には福があるって言葉知ってる?」

「うん!」

「じゃあ、どっちの言葉が好き?」

「うーん…そうだなぁ、残り物には福があるかな!みんなに先選んでほしいなぁって思うし」


やっぱり。


「そこが晴の良さだよな。チヒロちゃんも、そういう晴が好きかもよ?」

晴の顔が赤くなった。
素直で可愛い。


「でもさ、好きな子に対しては“早い者勝ち”にならないと勝てないよ」

「え?」


「“すき”って思った時に伝えないと、ほかの人に取られちゃうからさ」


晴にはまだ少し難しかったか?


「晴は俺と同じ思いしちゃダメだぞ」


そう、さっきの言葉は俺自身に言いたいこと。


もし…
暁兄より早く伊織に出会えてたら、付き合えてたのかな。
俺の隣にいてくれたのかな。


いや、、、
暁兄には勝てないか…


そんな気持ちが日々俺の中をぐるぐる廻る。



「和希兄ちゃんも好きな人いるの?」


いるよ。
お前のお姉ちゃんだよ。


「あぁ、いるよ」


「じゃあ和希兄ちゃんも早く好きって言わなきゃだね!」


「…そうだな」


なんか不思議と気持ちが少し楽になった。



「晴〜ありがとな」

「ぼくなにかした??」

「したした♪すげー助かった」

晴は意味がわかってなさそう。



「伊織のバイト先でも行く?」

「うん!行くー」


すごく伊織に会いたくなった。

気持ちが叶わないんだから、せめて会いたい時に会おう。
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