【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
◆◆◆
――翌日、わたくしが目を覚ますと早朝五時くらいだった。……習慣って怖いわね。まさかこの時間に目覚めるとは思わなかったわ。
でもまぁ、わたくしの精神はそのままなのだから、当然といえば当然なのかもしれない。
それにしても……この部屋、殺風景なだけじゃなくてちょっと埃っぽいわ。マーセルはあまりこの部屋にいなかったのかしら? だとしたら……マティス殿下と同じ部屋にいたってこと? ……いやね、想像したところでどうにかなるわけでもないのに。
「この埃っぽさ、気になるわね……」
ベッドから抜け出してクローゼットに向かい、ネグリジェから着替える。掃除道具も近くに置いてあったので、それらを手にしてみた。
置いてあっても使われた気配がないわね、この掃除道具……。なら、わたくしがしっかり使ってあげましょう。
魔法でぱぱっと済ませるのは簡単だけど、自分の手で掃除をするのって割と好きなのよね。
侍女に「私の仕事を取らないでくださいー!」と鳴かれたこともあるくらい、自分の手で掃除をするのが好きだった。
……だって、良い気分転換になるんだもの。
マティス殿下の隣に立つからって、ぎちぎちに詰められたスケジュールをこなしていったのよね。このままでは心が死ぬ。そう悟ったわたくしは、一日に五分だけでも良いから自由な時間がほしいと両親に伝え、勝ち取ったのはたったの十分。
――翌日、わたくしが目を覚ますと早朝五時くらいだった。……習慣って怖いわね。まさかこの時間に目覚めるとは思わなかったわ。
でもまぁ、わたくしの精神はそのままなのだから、当然といえば当然なのかもしれない。
それにしても……この部屋、殺風景なだけじゃなくてちょっと埃っぽいわ。マーセルはあまりこの部屋にいなかったのかしら? だとしたら……マティス殿下と同じ部屋にいたってこと? ……いやね、想像したところでどうにかなるわけでもないのに。
「この埃っぽさ、気になるわね……」
ベッドから抜け出してクローゼットに向かい、ネグリジェから着替える。掃除道具も近くに置いてあったので、それらを手にしてみた。
置いてあっても使われた気配がないわね、この掃除道具……。なら、わたくしがしっかり使ってあげましょう。
魔法でぱぱっと済ませるのは簡単だけど、自分の手で掃除をするのって割と好きなのよね。
侍女に「私の仕事を取らないでくださいー!」と鳴かれたこともあるくらい、自分の手で掃除をするのが好きだった。
……だって、良い気分転換になるんだもの。
マティス殿下の隣に立つからって、ぎちぎちに詰められたスケジュールをこなしていったのよね。このままでは心が死ぬ。そう悟ったわたくしは、一日に五分だけでも良いから自由な時間がほしいと両親に伝え、勝ち取ったのはたったの十分。