【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
 聞いてみたいけれど、他国の事情に足を踏み入れて荒らすのは、淑女(レディ)のすることではないわよね。

「……大変ですのね」
「まぁね。でもまぁ、気になる人は見付けたし」
「まあ、それは良かったですわ」

 踊りながら会話をしていると、あっという間にダンスレッスンの授業が終わった。

 レグルスさまとわたくしは特に注意されることもなく、むしろ先生から褒められるほどのワルツを踊れたわ。

「お相手、ありがとうございました」
「こちらこそ。楽しい時間をありがとう」

 にこりと微笑むレグルスさまに、わたくしも微笑みを浮かべ、カーテシーをしてから次の授業を受けるために移動する。

 ちらりとマティス殿下に視線を向けると、彼はまだ令嬢たちに囲まれていた。第一王子である彼の寵愛を受けたいという学生はかなりいるから、みんな話したいみたい。次の授業に遅れないと良いのだけど。

 助けを求めるようなマティス殿下の視線に気付いたけれど、小さく頭を下げてホールをあとにした。そのときの彼は「どうして置いていくんだ!?」と顔に書いてあった……気がするわ。

 マティス殿下に構わずホールをあとにするわたくしを、みんなが意外そうな目で見ていたわ。

 ……マーセル、本当に貴女(あなた)……いったいどれだけ、彼の(そば)にいたの……?
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