【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
 王立レフェーブル学園。

 わたくしたちはそこの学生だ。

 この学園は学生たちが自分の得意な分野で就職できるようにサポートしてくれる学園なので、学生数は多い。

 選べる学科は騎士、傭兵、魔術師、召使となかなか自由。

 女性でも騎士を目指す人もいるし、男性でも召使を目指す人がいる。その人たちをサポートするのが、この学園だ。

 わたくしは『魔術師』、マーセルは『召使』を受講しているから、頻繁に顔を合わせることはなかったのだけど……なぜかここ最近、マーセルはわたくしの前に現れてマティスとイチャイチャしているところを見せつけてから去っていた。

 嫌がらせ、よね。

「カミラさまがすぐに婚約破棄してくれなかったから……!」
「お言葉ですけど、わたくしとマティス殿下の婚約は生まれたときから決まっていたのよ。婚約破棄を願うなら、いろんな人に話を通さないといけないの。……ああ、ちょうど良かったじゃない。貴女、わたくしの身体になったのだから、両親に婚約破棄をお願いしたらいいわ」
「……! そっか、そうよね! 私、がんばって説得してみせます!」

 ぱぁっといきなり表情が明るくなった。……わたくしの顔でそんな顔をされると、なんだか別人のように見えるわ。

「善は急げ、今すぐに伝えてきますわ!」

 意気揚々と教室を出ていくのを眺めながら、……ベネット邸まできちんと辿りつけるのかしら? と小首をかしげる。メイドたちも、家族も、あんな『わたくし』を見たらどう思うかしらね。
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