【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
「マーセルが不足してつらいんだ。それにしても、珍しい組み合わせだな。いったいどんな集まりなんだ?」
「ただ、少しお話をしていただけですわ」
こくりとレグルスさまがうなずく。クロエはマティス殿下を呆れたように見ていた。
「マティス殿下、マーセル嬢を守りたいのなら、殿下が離れることが一番良いと伝えたはずです。彼女は殿下を慕う令嬢から突き落とされたんですよ」
えっ!?
思わずクロエを見えると、彼女は苦々しく表情を歪めていた。マティス殿下は眉間に深く皺を刻む。……マーセルが階段から落ちてきた理由って、突き落とされたから、なの……?
「……ところで、マティス殿下。一つ、聞きたいことがあるんだが」
「なんだ?」
「あなたは、ご自身の婚約者であるカミラ嬢のことを、どう思っている?」
マティス殿下はわたくしのことを考えているのか、その視線を厳しいものに変えた。そして、嫌そうに言葉を発する。
「カミラは……完璧な公爵令嬢だろう。なにも言うことがないほどに。それに、親が決めた婚約だ。カミラ自身に興味はない」
ガツンと、ハンマーで殴られたような衝撃を受けた。……そうよね、マティス殿下は、そうよね。
彼は自分が愛おしく、優しく触れている令嬢の中身がわたくしだと、知らないのだから。
マティス殿下の言葉に、レグルスさまは眉根を寄せた。
「それに、彼女は――」
一度言葉を切り、マティス殿下はわたくしが知らないことを話し始めた。その話を聞いて、どこか納得してしまった。
――だから、わたくしは……愛されなかったのね、と――
「ただ、少しお話をしていただけですわ」
こくりとレグルスさまがうなずく。クロエはマティス殿下を呆れたように見ていた。
「マティス殿下、マーセル嬢を守りたいのなら、殿下が離れることが一番良いと伝えたはずです。彼女は殿下を慕う令嬢から突き落とされたんですよ」
えっ!?
思わずクロエを見えると、彼女は苦々しく表情を歪めていた。マティス殿下は眉間に深く皺を刻む。……マーセルが階段から落ちてきた理由って、突き落とされたから、なの……?
「……ところで、マティス殿下。一つ、聞きたいことがあるんだが」
「なんだ?」
「あなたは、ご自身の婚約者であるカミラ嬢のことを、どう思っている?」
マティス殿下はわたくしのことを考えているのか、その視線を厳しいものに変えた。そして、嫌そうに言葉を発する。
「カミラは……完璧な公爵令嬢だろう。なにも言うことがないほどに。それに、親が決めた婚約だ。カミラ自身に興味はない」
ガツンと、ハンマーで殴られたような衝撃を受けた。……そうよね、マティス殿下は、そうよね。
彼は自分が愛おしく、優しく触れている令嬢の中身がわたくしだと、知らないのだから。
マティス殿下の言葉に、レグルスさまは眉根を寄せた。
「それに、彼女は――」
一度言葉を切り、マティス殿下はわたくしが知らないことを話し始めた。その話を聞いて、どこか納得してしまった。
――だから、わたくしは……愛されなかったのね、と――