【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
 第一王子であるマティスが長男。第二王子、第一王女、第三王子と弟と妹がいる。

「カミラさまは、平気なんですか……?」

「そうね。質が低すぎる嫌がらせには、呆れるだけだわ」

 テキストやノートを使えなくしたり、嫌味を言ってきたり。マーセルのしていたことを考えると、それも妥当のような気はするけれどね。

「学園という狭い世界で、盛り上がっちゃったのかしら?」
「……ッ」
「貴女たちは、先にわたくしに話を通すべきだったのよ。好きな人がいるから、婚約を白紙にしてほしいって。わたくしに隠れてマティス殿下と付き合うようになったから、他の令嬢からの嫌がらせを受けるようになったのではなくて?」
「……違います」

 マーセルは弱々しく首を横に振り、うつむいて膝に額をつけた。()ねたようなそんな姿に、眩暈(めまい)がするような気がした。だって、わたくしの姿でするんだもの。

 今までそんなことをしたことがなかったから、なんだかすごく複雑な気持ちだわ。
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