【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
雑貨店。
気を取り直して、雑貨店に向かう。
場所はブレンさまが案内してくれた。迷うことなく歩く姿を見て、彼は王都のお店に詳しいのね、と感心した。
ブレンさまの言っていた『女性が好きそう』な通りの見た目だったから、これは……レグルスさまとブレンさまは居づらいのでは……? と心配して彼らを見る。
彼らは「どうした?」や「入りましょー」とお店の入り口で微笑んでいた。……平気、なのね。
わたくしたちが店内に入ると、店員の「いらっしゃいませー」という明るい声が聞こえてきた。
中を見回ると、確かに女性が好みそうなガラス細工やビーズ、アクセサリーまで様々なものが置いてある。可愛いものからきれいなものまで、本当に様々。
いつも公爵家に宝石が運ばれていたから、こうやってお店で見るのは初めてで、新鮮だわ。
「あら、きれいな花瓶」
「本当に。ふふ、レグルスさまの瞳と同じ色ですね」
無意識に見ていた花瓶。こそっとクロエが耳元でささやく。思わず「えっ」と肩を跳ねさせると、彼女はくすくすと笑い声を上げた。
「俺がどうかした?」
「あ、い、いえっ、なんでもありません……!」
ぷるぷると首を横に振ってなんとかそれだけ口にすると、微笑ましそうな視線を感じた。クロエとブレンさまだ。ブレンさまも気付いていたの……!?
れ、レグルスさまは気付いていないわよね? 気付いていませんように。「きみはどんなものが好きかい?」
「え?」
「好みのものを、知っておきたくて」
好みのもの……?
わたくしはその場で身体を硬直させてしまった。……自分の好みのものが、あったかしら?
幼い頃から、着るものも部屋に置くのもすべてお母さまが決めていた。
少しでも違う意見を伝えれば、何倍にもなった否定の言葉を浴びせられ、そのうちに自分の好みを考えることをやめてしまった。
場所はブレンさまが案内してくれた。迷うことなく歩く姿を見て、彼は王都のお店に詳しいのね、と感心した。
ブレンさまの言っていた『女性が好きそう』な通りの見た目だったから、これは……レグルスさまとブレンさまは居づらいのでは……? と心配して彼らを見る。
彼らは「どうした?」や「入りましょー」とお店の入り口で微笑んでいた。……平気、なのね。
わたくしたちが店内に入ると、店員の「いらっしゃいませー」という明るい声が聞こえてきた。
中を見回ると、確かに女性が好みそうなガラス細工やビーズ、アクセサリーまで様々なものが置いてある。可愛いものからきれいなものまで、本当に様々。
いつも公爵家に宝石が運ばれていたから、こうやってお店で見るのは初めてで、新鮮だわ。
「あら、きれいな花瓶」
「本当に。ふふ、レグルスさまの瞳と同じ色ですね」
無意識に見ていた花瓶。こそっとクロエが耳元でささやく。思わず「えっ」と肩を跳ねさせると、彼女はくすくすと笑い声を上げた。
「俺がどうかした?」
「あ、い、いえっ、なんでもありません……!」
ぷるぷると首を横に振ってなんとかそれだけ口にすると、微笑ましそうな視線を感じた。クロエとブレンさまだ。ブレンさまも気付いていたの……!?
れ、レグルスさまは気付いていないわよね? 気付いていませんように。「きみはどんなものが好きかい?」
「え?」
「好みのものを、知っておきたくて」
好みのもの……?
わたくしはその場で身体を硬直させてしまった。……自分の好みのものが、あったかしら?
幼い頃から、着るものも部屋に置くのもすべてお母さまが決めていた。
少しでも違う意見を伝えれば、何倍にもなった否定の言葉を浴びせられ、そのうちに自分の好みを考えることをやめてしまった。