【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
「候補者はどのくらいいたのですか?」
「十人くらいか?」
「削りまくってそのくらいですねー。いやぁ、選別が大変そうでしたよ」
リンブルグの王位継承権ってどうなっているのかしら。削りまくってって……
「いろいろあったんですよー」
「そうみたいね……」
のほほんと笑っているけれど、たぶん、わたくしが想像もつかないことを経験してきたのよね、きっと。
困惑しながらもカフェオレを飲む。美味しい。少し、現実逃避をしてしまった。
「俺に決まったのって、たぶん優勝したからだよな?」
「でしょうね。レグルスさま、国で一番強いといわれる人を倒しちゃったから」
「えっ! それは……すごいですね」
「……あれ、絶対自分が王太子になりたくないからだと、思うんだがなぁ……」
レグルスさまも、自国でいろいろあったのね。と、彼を見ると懐かしむように目元を細めていた。
やっぱり、自国が恋しいのかしらと考えていると、クロエがコーヒーを飲み干してから口を開く。
「この国からの移住は大変そうですか?」
「クロエ?」
「いや、このままだと私、出世もなにもできそうにないので、外に出るのも良いかと」
クロエがそんなことを考えているとは知らなくて、目を丸くした。彼女は「意外そうですね」と笑って、店員を呼び、コーヒーのお代わりを頼んだ。どうやら美味しいコーヒーだったみたいね。
「きみは医者じゃなかった?」
「ええ。マティス殿下の主治医という名の追い出しを受けた、医者です」
「それはどういう……?」
「国の医療体制、貴族が仕切っているんですよね。そして、殿下には私の他にも男性の主治医がいますから。要するに、『女はこっちに来るな』って感じです」
にこっと笑うクロエ。……彼女も苦労人だ。
いえ、違うわ。苦労を知らない人なんて、いないはずよね。
大事なのは、苦労した分をどうやって自分に返せるか。幸せになるために、どうすれば良いのかを考えること……かしらね?
「十人くらいか?」
「削りまくってそのくらいですねー。いやぁ、選別が大変そうでしたよ」
リンブルグの王位継承権ってどうなっているのかしら。削りまくってって……
「いろいろあったんですよー」
「そうみたいね……」
のほほんと笑っているけれど、たぶん、わたくしが想像もつかないことを経験してきたのよね、きっと。
困惑しながらもカフェオレを飲む。美味しい。少し、現実逃避をしてしまった。
「俺に決まったのって、たぶん優勝したからだよな?」
「でしょうね。レグルスさま、国で一番強いといわれる人を倒しちゃったから」
「えっ! それは……すごいですね」
「……あれ、絶対自分が王太子になりたくないからだと、思うんだがなぁ……」
レグルスさまも、自国でいろいろあったのね。と、彼を見ると懐かしむように目元を細めていた。
やっぱり、自国が恋しいのかしらと考えていると、クロエがコーヒーを飲み干してから口を開く。
「この国からの移住は大変そうですか?」
「クロエ?」
「いや、このままだと私、出世もなにもできそうにないので、外に出るのも良いかと」
クロエがそんなことを考えているとは知らなくて、目を丸くした。彼女は「意外そうですね」と笑って、店員を呼び、コーヒーのお代わりを頼んだ。どうやら美味しいコーヒーだったみたいね。
「きみは医者じゃなかった?」
「ええ。マティス殿下の主治医という名の追い出しを受けた、医者です」
「それはどういう……?」
「国の医療体制、貴族が仕切っているんですよね。そして、殿下には私の他にも男性の主治医がいますから。要するに、『女はこっちに来るな』って感じです」
にこっと笑うクロエ。……彼女も苦労人だ。
いえ、違うわ。苦労を知らない人なんて、いないはずよね。
大事なのは、苦労した分をどうやって自分に返せるか。幸せになるために、どうすれば良いのかを考えること……かしらね?