528ヘルツの奇跡
「――ねえ、森さん」
周りには誰もいないと思ってたのに、急に後ろから声を掛けられて驚いてしまった。振り返る前にスッと隣に並んできたのは、クラスメイトの女子。
顔を見てもう一度驚いてしまった。だって、剛里希星だったから。彼女とよく一緒にいる、取り巻きみたいな子たちが三人、ニヤニヤ笑いながらその後ろをついてきていた。
彼女はクラスでも……いや、学年でも、有名人だ。
ストレートの黒髪ロングヘアのモテ陽キャラ。強気な性格もあいまって、派手で目立つ存在。最近は年の離れた大学生のお兄さんが声優になったらしく、それも自慢している。
それに、私の声のコンプレックスをクラスで最初に見つけてからかい始めたのは、この剛里さん。
だから私は彼女がとても苦手だ。
なんの用事があるんだろう? 少し警戒しながら、彼女に合わせて速度を緩め早歩きにした。
「あのさ、あたし、面白いもの見つけちゃったんだけど。ちょっとこれ見てくれない?」
そう言いながらジャージのポケットからスマホを取り出した。授業中の使用は禁止されてるのに、そんなのお構いなしだ。
剛里さんが私に見せてきたのは、動画投稿が出来るSNSだった。それをつらつらとスクロールし、ひとつの投稿動画をタップした。
「これ、昨日偶然見つけちゃったんだけど、分かる?」
画面を見て、思わず足が止まってしまいそうになった。
「この動画投稿したの、森さんじゃない?」
「ち、違うよ……知らない……」
スマホから目をそらし前を向いて、一生懸命走っているフリ。心臓がドキドキしてる。その音が剛里さんに聞こえてしまうんじゃないかと心配になった。
周りには誰もいないと思ってたのに、急に後ろから声を掛けられて驚いてしまった。振り返る前にスッと隣に並んできたのは、クラスメイトの女子。
顔を見てもう一度驚いてしまった。だって、剛里希星だったから。彼女とよく一緒にいる、取り巻きみたいな子たちが三人、ニヤニヤ笑いながらその後ろをついてきていた。
彼女はクラスでも……いや、学年でも、有名人だ。
ストレートの黒髪ロングヘアのモテ陽キャラ。強気な性格もあいまって、派手で目立つ存在。最近は年の離れた大学生のお兄さんが声優になったらしく、それも自慢している。
それに、私の声のコンプレックスをクラスで最初に見つけてからかい始めたのは、この剛里さん。
だから私は彼女がとても苦手だ。
なんの用事があるんだろう? 少し警戒しながら、彼女に合わせて速度を緩め早歩きにした。
「あのさ、あたし、面白いもの見つけちゃったんだけど。ちょっとこれ見てくれない?」
そう言いながらジャージのポケットからスマホを取り出した。授業中の使用は禁止されてるのに、そんなのお構いなしだ。
剛里さんが私に見せてきたのは、動画投稿が出来るSNSだった。それをつらつらとスクロールし、ひとつの投稿動画をタップした。
「これ、昨日偶然見つけちゃったんだけど、分かる?」
画面を見て、思わず足が止まってしまいそうになった。
「この動画投稿したの、森さんじゃない?」
「ち、違うよ……知らない……」
スマホから目をそらし前を向いて、一生懸命走っているフリ。心臓がドキドキしてる。その音が剛里さんに聞こえてしまうんじゃないかと心配になった。