今夜はきっと眠れない
「俺はなにも言ってないからな」
「そうですか」
 私はそっぽを向く。

「ーー言ってないからな」
「聞いてませんてば」

「ーーほんとは聞いただろ?」
「ーーどうでしょう」

「お前、実はSだろ」
「そんなことないです」
 私の答えに、部長はため息をつく。

「いいか、よく聞け」
 言われて、私は迷いながら彼を見る。
 真剣な顔がそこにあって、心臓が止まりそうにドキッとした。

「今度、君に告白する。だからそれまでに答えを準備しとけ」
「……はい」

 彼に甘く見つめられ、私は熱くなる頬に手を当てて目をそらす。
 今夜はきっと眠れない、そう思いながら。






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