【手直し中】野いちご源氏物語 〇二 帚木(ははきぎ)
2026.05.04~ 手直しを始めます。一部読みにくいところがあります。ご了承ください。
 (ひか)源氏(げんじ)などという大げさな呼び名だけがひとり歩きしているけれど、いつも光り輝いていらっしゃったわけではない。当然人間くさい(めん)もおありだった。それだけでなく、必死に(かく)そうとなさっていた恋愛問題まで語り伝えようというのだから、私を含めて世間は本当におしゃべりよね。
 恋愛問題と言っても、世間の目をひどく気にして真面目(まじめ)ぶっていらっしゃったから、うっとりするようなお話はない。物語の風流(ふうりゅう)(おとこ)には笑われてしまうでしょうね。

 源氏(げんじ)(きみ)が十七歳のころのお話をしましょうか。
 まだ内裏(だいり)でばかりお暮らしになって、ときどき左大臣(さだいじん)(てい)婿君(むこぎみ)として通っていらっしゃった。
「なぜ我が家で暮らしてくださらないのだろう。まさか内裏の女房(にょうぼう)相手に遊んでいらっしゃるのでは」
 と左大臣がお疑いになることもあったけれど、源氏の君はそういう気楽で苦労のない女遊びはお好きでないの。
 逆に言えば、面倒(めんどう)な恋ほど夢中になってしまわれるということ。そんなときには身分(みぶん)にふさわしくない行動をなさることも、まぁ、なくはなかったわね。
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