距離感ゼロ 〜副社長と私の恋の攻防戦〜
クリスマスイブ
湾岸エリアプロジェクトは各チームに別れて本格的に始動し、翔が直接関わることはだんだん少なくなっていた。
海外支社でやり残した仕事も片付き、ようやく時間と気持ちに余裕が生まれる。
ある日翔は、プロジェクトの為の資料を作ってくれた秘書室のメンバーを労おうと、有名店のお菓子を持って秘書室を訪れた。
失礼、とドアの横で声をかけると、振り返ったメンバーが一斉に立ち上がる。
「副社長!?どうされました?」
「皆さんにお礼をと思って。よかったらどうぞ」
ええー?と驚きつつ、菜緒が嬉しそうに受け取る。
「資料の作成ありがとう、松村さん」
「いいえー。微力ながらお役に立てたなら光栄です。わあ!このお菓子、今人気のお店のですよね?ありがとうございます、副社長」
「どういたしまして。それじゃあ」
踵を返した翔は、ふと立ち止まってもう一度部屋の様子をうかがう。
ワイワイと賑やかにお菓子を広げるメンバーの中に、笑顔の芹奈がいた。
向かいの席の井口と「コーヒー淹れようか」と話しながら、二人で給湯室へと歩いて行く。
(ようやくつき合い始めたのかな?あの二人)
心の中でポツリと呟くと、翔は未練を断ち切るように背を向けて歩き出した。
海外支社でやり残した仕事も片付き、ようやく時間と気持ちに余裕が生まれる。
ある日翔は、プロジェクトの為の資料を作ってくれた秘書室のメンバーを労おうと、有名店のお菓子を持って秘書室を訪れた。
失礼、とドアの横で声をかけると、振り返ったメンバーが一斉に立ち上がる。
「副社長!?どうされました?」
「皆さんにお礼をと思って。よかったらどうぞ」
ええー?と驚きつつ、菜緒が嬉しそうに受け取る。
「資料の作成ありがとう、松村さん」
「いいえー。微力ながらお役に立てたなら光栄です。わあ!このお菓子、今人気のお店のですよね?ありがとうございます、副社長」
「どういたしまして。それじゃあ」
踵を返した翔は、ふと立ち止まってもう一度部屋の様子をうかがう。
ワイワイと賑やかにお菓子を広げるメンバーの中に、笑顔の芹奈がいた。
向かいの席の井口と「コーヒー淹れようか」と話しながら、二人で給湯室へと歩いて行く。
(ようやくつき合い始めたのかな?あの二人)
心の中でポツリと呟くと、翔は未練を断ち切るように背を向けて歩き出した。