落ちこぼれ悪魔の扱い方
頭がガンガンしてきた。

風邪の兆候であることは、自分でも何となく気付いている。


「ならいいだろ、休めよ」

与崎の声が頭の中で反響して、頭痛を引き起こす。

美弥はぼんやりしてよく回らない思考の中で、ほぼ無意識に呟いていた。

「……独りは嫌」


美弥の言葉を聞いた与崎は口を引き結び、臆病な小動物でも見るような視線を美弥に注ぐ。

美弥はハッと我に返り、「なんでもない」と笑顔で取り繕った。

「今のは嘘。本当は大丈夫だから」

弱みを見せちゃいけない。

ずっとそうやって、何度も何度も、苦難を乗り切ってきたのだから。


……しかし本音を漏らしてしまった以上、張り付けた笑みは何の効力も持たない。

その証拠に与崎は、美弥の本心を見透かしているかのように苦笑した。


「寂しがりだな」

「そんなんじゃないんだってば」

美弥は笑顔を保つのに疲れ、表情を崩す。

対照的に与崎は余裕ありげな笑みを浮かべていた。


「提案があるんだけど」

与崎に言われ、美弥は熱で潤んできた目を与崎に向ける。
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