落ちこぼれ悪魔の扱い方
引きつった笑顔を浮かべる二人に愛想笑いを返し、美弥は緩慢とした動作で教室を出ていく。


「え、今の、聞こえてたよね?」

「絶対聞こえてたでしょ。うわー、気まず。ヤバ」


美弥を普通じゃないと断言したくせに、結局は他の他愛もない話題と一括りに『ヤバい』とまとめている。

普通か普通じゃないのか、どっちなんだよ、と美弥はほんの少し苛ついた。


ふらふらと教室を後にしながら、美弥は心の中で語りかける。


ねえ与崎。

あんた、私から何もかも奪ってっちゃったよ。

父を忘れたままの平穏な日々も、『普通の子』としての地位も、何もかも。


与崎がいない生活に戻れたわけではない。

今の美弥は正直、与崎が来る前よりも酷い。


同居人のいる楽しい日々を知ってしまい、『真珠の環』の恐ろしさを再確認させられ、父の記憶を思い出したせいで時折無性に悲しくなり、もぬけの殻の心を抱えて頽廃的な生活を送る。


せめて、あんたがいれば……。


不器用だけど面倒見の良い与崎がいれば、ここまで精神がぶっ壊れることもなかったはずだ。


「復讐はできなくても、側にいてほしかったな……」


呟く声は、一気に百歳老けたかのように乾ききっている。

何にも面白くないのに、へらりとした笑みが口元を中心に広がった。


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