そのモラハラ彼氏、いらないでしょ? ~エリート御曹司の略奪愛
――こうして宗吾はイライラの元を断ち切ると、沙梨を助手席に乗せて江ノ島までドライブに向かい、二十時には彼女を自宅に送り届けて帰宅した。
しかし、玄関を開けても室内は真っ暗で、七瀬の姿はない。スマホを見ても、連絡一つ入っていない。
(やっぱり昨日、帰って来たのか……?)
玄関口に置きっぱなしになっているヨガマットを見たら、無性に腹が立ってきた。
「邪魔だっ」
ヨガマットを力任せに蹴り飛ばしたら、リビングの方まで転がっていった。
家に上がると、マットを踏みつけて部屋に入り、ソファに腰を下ろして七瀬に電話を入れた。
しかし、ずっと呼び出し音が続くだけで、電話がつながることはない。
SNSにメッセージを送ってみても既読はつかない。
「なにやってんだよ」
毒づいてもう一度、電話をかける。でも結果は同じ。だんだんイラついてきた。
さらに電話をかけ、合間にメッセージを山のように送り、手が空いたら次の電話をかける。
これを一時間ほど繰り返していたら、やっと通話状態になった。
「――七瀬! なんですぐ出ないんだ!」
開口一番の対応が大事だ。一日で募りに募った怒りを爆発させ、いかに自分が怒っているかを知らしめなければならない。
だが、電話の向こうは無言のままだ。宗吾に怒鳴られて、怯えているのだろうか。
「今日、帰って来るんだよな? 何時に帰って来る?」
七瀬が返事をしやすいように、なにより一度帰宅したかを確かめるために、さっきより少しだけトーンを落として尋ねた。
それでもやはり、返事はない。
「七瀬、聞いてるのか? どこにいるんだ、何時に帰ってくる!?」
再びイライラしながら問い詰めた時だ。
『――悪いが、七瀬はその家に帰さない。近いうちに荷物を取りに行くから、そのつもりでいろ』
思いもしなかった男の声だった。しかも、間違い電話とかではなく、明らかに七瀬の携帯とわかって電話に出ている。
状況が把握できず、頭が真っ白になった。
だがふいに、水曜日のことを思い出した。オフのはずの七瀬が青山にいて、見知らぬ男と一緒に歩いていたのだ。
あのときはカーッと頭に血が上って、七瀬を連れ戻すことしか思い浮かばなかったから、男の顔も声もはっきりとは覚えていない。
でも、こんな近距離にいる男の心当たりは、あいつしか思い浮かばない。
七瀬があの男に向けていた笑顔は、愛想笑いの類ではなかった。男の素性については知りたくもなかったので問い詰めなかったが、親しい人物だったのだろう。
企業に呼ばれて、そこの社員にヨガの質問をされていただけだと言っていたが……。
「……誰だ、おまえ」
ようやくそう返した瞬間、有無を言わせず電話は切れた。
「は?」
通話が途切れたスマホを見下ろしているうちに、怒りがふつふつと湧いてきた。
宗吾は立ち上がると、スマホを力任せに壁に投げつけていた。大きな音を立てて叩きつけられたスマホは床に落ち、画面には亀裂が入る。
その様子を見て、ますます激昂した。
「クソが!!」
壁際まで歩いた宗吾は、スリッパを履いた足でさらにスマホを何度も何度も踏みつけ続けた。
しかし、玄関を開けても室内は真っ暗で、七瀬の姿はない。スマホを見ても、連絡一つ入っていない。
(やっぱり昨日、帰って来たのか……?)
玄関口に置きっぱなしになっているヨガマットを見たら、無性に腹が立ってきた。
「邪魔だっ」
ヨガマットを力任せに蹴り飛ばしたら、リビングの方まで転がっていった。
家に上がると、マットを踏みつけて部屋に入り、ソファに腰を下ろして七瀬に電話を入れた。
しかし、ずっと呼び出し音が続くだけで、電話がつながることはない。
SNSにメッセージを送ってみても既読はつかない。
「なにやってんだよ」
毒づいてもう一度、電話をかける。でも結果は同じ。だんだんイラついてきた。
さらに電話をかけ、合間にメッセージを山のように送り、手が空いたら次の電話をかける。
これを一時間ほど繰り返していたら、やっと通話状態になった。
「――七瀬! なんですぐ出ないんだ!」
開口一番の対応が大事だ。一日で募りに募った怒りを爆発させ、いかに自分が怒っているかを知らしめなければならない。
だが、電話の向こうは無言のままだ。宗吾に怒鳴られて、怯えているのだろうか。
「今日、帰って来るんだよな? 何時に帰って来る?」
七瀬が返事をしやすいように、なにより一度帰宅したかを確かめるために、さっきより少しだけトーンを落として尋ねた。
それでもやはり、返事はない。
「七瀬、聞いてるのか? どこにいるんだ、何時に帰ってくる!?」
再びイライラしながら問い詰めた時だ。
『――悪いが、七瀬はその家に帰さない。近いうちに荷物を取りに行くから、そのつもりでいろ』
思いもしなかった男の声だった。しかも、間違い電話とかではなく、明らかに七瀬の携帯とわかって電話に出ている。
状況が把握できず、頭が真っ白になった。
だがふいに、水曜日のことを思い出した。オフのはずの七瀬が青山にいて、見知らぬ男と一緒に歩いていたのだ。
あのときはカーッと頭に血が上って、七瀬を連れ戻すことしか思い浮かばなかったから、男の顔も声もはっきりとは覚えていない。
でも、こんな近距離にいる男の心当たりは、あいつしか思い浮かばない。
七瀬があの男に向けていた笑顔は、愛想笑いの類ではなかった。男の素性については知りたくもなかったので問い詰めなかったが、親しい人物だったのだろう。
企業に呼ばれて、そこの社員にヨガの質問をされていただけだと言っていたが……。
「……誰だ、おまえ」
ようやくそう返した瞬間、有無を言わせず電話は切れた。
「は?」
通話が途切れたスマホを見下ろしているうちに、怒りがふつふつと湧いてきた。
宗吾は立ち上がると、スマホを力任せに壁に投げつけていた。大きな音を立てて叩きつけられたスマホは床に落ち、画面には亀裂が入る。
その様子を見て、ますます激昂した。
「クソが!!」
壁際まで歩いた宗吾は、スリッパを履いた足でさらにスマホを何度も何度も踏みつけ続けた。